恐らくセブ島辺りからだと思うのだが、再びマニラに戻っている。どのようにして戻ったのかは、全く思い出すことができない。マニラからタイの首都であるバンコクへの航空券は予め購入済みなので、予定通りバンコクに向けてマニラを後にした。

　機内でのこと、私の隣の座席には日本人の男性が座っていた。年齢的には30から33歳くらいで、同年代か少し年上からの感じであった。「旅行ですか？」くらいの軽い会話から始まった。

　彼：「いや、どちらかと言うと仕事かな〜」

　私：「バンコクで仕事なんですか？」

　彼：「いや、目的はバンコクではなくてインドなんだ」

　私：「インドですか？」

　彼：「そう。バンコクで2、3日息抜きをしてからいくつもりなんだ」

　私：「そうなんですか」

　彼：「実は、バイクショップを経営していて、インドへバイクを探しに行くんだ」

　私：「インドでバイクを探す？」

　彼：「そうだよ。イギリスの統治時代にたくさんのバイクが持ち込まれたんだ。それを探すんだよ。つまり

　　　　ヴィンテージバイクだよ。」

　私：「へえ〜、そんなふうにバイクを探すこともあるんですか？」

　彼：「そうだよ。ところでバンコクは初めてなの？」

　私：「ええ、初めてです。」

　彼：「どこに泊まるんだい？」

　私：「まだ決めていないのですが、地球の歩き方に載っているどこかにしようと思って…」

　彼：「地球の歩き方に載っていると思うけど、チャイナタウンにある…ホテルにボクは泊まるつもりなんだ」

　私：「どんなホテルですか？」

　彼：「まあ、安いからきれいとは言えないけど、そこそこだと思うよ。それに、チャイナタウンだから安く

　　　　食べられる食堂や屋台はたくさんあるし…」

　私：「じゃあ、ボクもそこにしようかな」

　彼：「よし、じゃあ決まった！」

　私たちの機は何事もなくバンコクの国際空港に到着し、税関なども特に問題なくタイに入国した。そして、空港ロビーを出てバス乗り場まで行き、バンコクの中心部に向かうバスに乗った。