実は、この「再生可能エネルギーの固定買取制度」ではドイツがかなり先行していて、2000年に「20年間の固定買取」を約束した法律が施行されている。それにより再生可能エネルギーでの発電は7%から23%にまで伸びたのである。
しかし、「買取価格」に関しては、2004年、2009年、そして2012年(2回)と4回にわたって見直しが行われた。それは、当初、再生可能エネルギー発電施設への補助金は8億8300万ユーロ(現レートで約1211億)だったが、年ごとに増え、2013年度には230億ユーロ(約1兆3580億)までに膨れ上がってしまったからである。
既存の火力発電や原子力発電に比べると、太陽光や風力を使った発電施設はコスト高となる。そして、その増えたコストをだれが負担しなければならないかと言うと、国民である。もっと正確に述べると、各電力会社から電気を購入している人たちだ。毎月支払っている電気代に「賦課金」という形でプラスされてくる。それがかなり一般の人たちの生活を圧迫するようになり、「再生可能エネルギーの固定買取制度」の恩恵を受けていない人たち(ほとんどの国民がそうだと思われる)から不満が噴出するようになったわけである。よって、ドイツでは「制度はすでに破綻している」とさえ言われている。
さて、我が国だが、法律が施行されてまだ2年と少しだが、すでに固定価格の見直しがされた。少しずつ国民が「賦課金」による電気料金の上昇を敏感に感じ始めているし、このままいけばドイツの二の舞になるのは見えている。
前々から二酸化炭素の排出によって地球の温暖化が問題なっていて多くの国民はそれなりに環境を意識しながら生活するようになっていたはずだ。それにプラスして、東日本大震災での福島の原発事故を経験し、「なるべく原発に頼らずに生活していこう」という機運が高まった。
よって、多くの国民は再生可能エネルギーでの発電のコスト高は理解し、「少しくらいコスト高でも負担していこう」と思っているに違いない。プアーズな私だってそう思っている。だが、一部の人たちの利潤のために負担を強いられるのは、前々から「おかしいのでは?」と思っていたわけである。
再生可能エネルギーによる発電のために民間の力を利用するというのは理解ができる。競争原理が働けばコストダウンにつながるし、技術革新も生まれてくる。しかし、一部の人たちの利益を多くの人たちが負担しなければならないのは、いずれはひずみを生み破綻していくような気がしてならない。何か良い方法はないものだろうか?
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