この時受けたレッスンでは、私の斜め後ろで男性の人が受けていたのだが、始めてみる顔であった。ウォーミングアップではしっかりと動けていたので、そこそこステップのクラスも経験があるようであった。基本的なステップは問題ないようだったが、コンビネーションの前半に入るとかなり手こずるようになった。まあ、初めて受けるインストラクターだったようで致し方がないことである。
彼はコンビネーションのステップが増えるにしたがって間違いが目立ってきた。私はそれを見ていて「オレも1年前はあんな感じだったのだろうな〜」この上ない優越感にひたっていた。(「今でもかなり間違っているのによく言うよ、コイツ!」という感じではあるが…)
そして、「完璧」な前半から後半に移った。すでに先週のレッスンで行っているので大よその部分は頭の中に入っている。後半の後半部分が少し違っただけであとは同じだった。前半のように「完璧」とはいかず多少の間違えはあったが、納得のいく内容であった。
さあ、これで前半と後半をそれぞれ行ったわけである。次は両方を通して行っていくレッスンのメインとなる部分が最後に残っている。いつものように、インストラクターが「みなさん、前半部分覚えていますか?」と声をかけた。通常は、ここで「あれっ、何だったっけ?」となるところである。今回、前半の部分を完全にマスターしてしまった私は、「今日はいつものオレとは違うぜ!」と自信にみなぎっていた。
「最初は右足を台の上に乗せ、次に左足、そして台の上の右足を台の前にステップし」と、特に「思い出す」などという作業をすることなくすんなりと頭の中に浮かんできた。そして、「それから…」と次のステップを考えたのだが、これががなかなか出てこない。でも、「まあ、1回やればすぐに思い出すだろう」と楽観的になり、いつものように「あれっ、何だっけ?何だっけ?」と半分しか働いていない中枢神経の脳細胞に「おい、お前ら起きろ!全力で神経伝達物質を放出しまくるのだ!」と叱咤激励することもなかったのである。