市民大会は、市の大きな体育館で開催され、1次予選、2次予選、そして決勝の形で行われた。1次予選は、参加者全員が1つの大きなフロアでインストラクターのリードに合わせて行うのだが、私の記憶違いでなければ、その中から90人から100人ほどが2次予選に進んだ。そして、決勝は2次予選に進んだ人の中から10人が選ばれ、ステージの上で行われたのである。
結果は1次予選敗退ではあったが、まあ、それなりに楽しむことはできた。そうそう、それから着用したウエアなのだが、さすがに普段エアロのレッスンを受けるようなジャージにT-シャツというわけにはいかず、かといって専用のレオタードを購入する気にもなれなかったので、フィットネスクラブのスタッフのものをお借りした次第である。正解だったような気がする。
さて、1年後の大会にも参加したが、何とか1次予選は突破することができた。さすがに「決勝まで行きたいな」などとは思わなかったが、たとえそう思ったとしてもとても無理である。というのも、2次予選から「ハイキック」が出てきて、とてもではないが普通の人がきれいにできるものではない。
足を、膝をしっかりと伸ばしたまま高く上げていくには太ももの裏の筋肉であるハムストリングスの柔軟性が特に求められる。おそらく、フロアに長座(足を前に伸ばして座る)の形から前屈をした場合、それこそ胸が太ももに着くくらいの体の柔らかさが必要になってくると思われる。そうでないときれいなハイキックはできない。
普段のスタジオレッスンでは基本的にはやらない動作なので、いざやろうとすると、まともにできるものではない。無理に高く上げようとすると膝が曲がってしまうし、上半身もフロアに対して垂直に保つことができない。つまり、ハイキックは、できる人とできない人の差がはっきりとでる動作なのである。
私は、自分のできなさに愕然としてしまった。「普段、こんな動作しないしな〜」なんていうのは言い訳以外の何物でもなく、目一杯上げても胸辺りの高さだし、膝もしっかりと伸びていない。まったくお粗末そのものであった。
さすがに「もう少し他の人についていけるようになりたい」と思い、柔軟性の重要性を意識するようになった。普段の生活の中で積極的にストレッチを取り入れていったのである。つまり「ながらストレッチ」だ。
歩道を歩いていて信号待ちをしているときなども積極的にハムストリングスを伸ばしたりした。そして気が付くと、いつの間にか開脚しながら食事をする癖がつくようになっていたのである。