私:「大丈夫ですか?」
年配の女性:「え、え〜、…。ちょっと転んじゃって…」
私:「どこも痛いところはないですか?」
年配の女性:「え、え〜、大丈夫です。」
私:「とにかく起きましょう!」
私はその女性の脇を抱えてお越し、歩道に導いた。
私:「本当にどこも痛くないですか?」
年配の女性:「ええ、どこも痛くないです。もう私、90歳なんですよ。年は取りたくないですね…。」
私:「そうですか…」
年配の女性:「いや〜、本当に助かりました。ありがとうございます。地獄で仏とはこのことです。」
私:「別に大したことではないですから」
私は歩道の脇に置いたものをもともと入っていたビニール袋に詰めて女性に手渡した。女性は、「もう本当に大丈夫ですから」とは言ったが、間違ってもここで「じゃあ、気を付けて!」などと言ってそのまま帰路につくわけにはいかなかった。最低限でも安全に道路を渡ってもらわないとならなかったので、「さあ、一緒に渡りましょう!」と女性を促した。
女性は、「本当にもう一人でも大丈夫ですから」とは言ったが、こういうときは少し強引なくらいがよい。(う〜む、「経験者は語る」というやつだ)私は女性の手を取って、車の流れがと切れたところで道路の反対側まで一緒に渡った次第である。