道路の反対側に渡り「さて、どうしたものか?」と思った。つまり、自宅まで送った方が良いのだろうか、それともここで構わないのか少し迷いがあった。スーパーの道を隔てた向かいには公団のそこそこ規模の大きな団地があり、おそらくそこの住人なのだろうと思った。よって、自宅まで送ったとしても、それほど時間を費やすわけでもな気がした。仮に多少時間がかかったとしても、「フィットネスの時間が迫っているし」と言い訳をする気にはもちろんなれなかった。その年配の女性が望めば喜んで自宅まで送っていくつもりであった。
ちょっと余談にはなるが、去年、父親が亡くなった時にまず思ったのが、「何一つ親孝行らしいことはしてあげられず申し訳なかったな〜」ということである。その代わりには全くならないのだが、それ以来、年配の人が困っているのを見ると「少しでも助けてあげないと…」という気持ちは強くなっている。
「さて、どうしようか?」と思っていると、その年配の女性が「今日は少し多めに買いすぎちゃったから何か持って行って」と言い出したのである。私は、荷物を運ぶのを手伝ってほしいのかと思い「別に構いませんよ!」と答えた。つまり、迷う必要はなくなったのである。
すると女性は、買ったものが入っているビニール袋の中に手を入れ何かを探し出した。そして、「これでいいわ!」と言い、買ったものを1つ取り出したのである。私は訳が分からず、その女性が取り出したものを見たのだが、インスタントの味噌汁であった。
「大したものじゃあないんだけど…」と私に差し出したのである。「「持って行って!」ってそういう意味だったのか〜?」と思わざるを得なかった。もちろん、間違っても頂くわけにはいかなかったので、丁重にお断りした次第である。
結論を言うと、その女性は「もう後は大丈夫ですから」と言うので、「大丈夫かな〜?」という不安は感じながらも、「酔っぱらっているわけではないし、見ず知らずの私があまり強引にしてもな〜」という気持ちもあったので、そこで私も帰路についた次第である。