一応、一晩中ダウンベストは漬けて置いたままにしておき、翌日に「さて、干すか!」となったわけである。まあ、今から思うと、洗濯水の中にダウンベストが浸かったままの状態でブルーシートの方を先に取り除いてしまえば、洗濯水は自然と排水されるだろうし、ダウンベストに含まれている水分も時間が経てば少しずつではあるが少なくなっていくはずである。
しかし、生来の「おバカ」な私は、洗濯水の中からダウンベストを取ることしか思い浮かばなかったわけだ。その方法でも、ダウンベストを均一に持ち上げて洗濯水から出せればそれほど問題はないのだろうが、洗濯水の中に完全に漬かりきったダウンベストを手で均一に持ち上げていくなどと言う行為は「不可能」である。
さて、すっかり漬かり切ったダウンベストの下に両手を入れて持ち上げようとしたのだが、これがけっこう重いのである。もちろん、「重い」といっても5`もあるわけではないので、ひ弱な私でも持ち上げられない重さであるわけはない。
「大丈夫かな〜」と少し不安になりながら持ち上げて蓋がしてある風呂桶の上に置いてみたが、今度はベスト自体がタプタプとして全然水が抜けていかなかった。浸けたときと同じように30分ほど風呂場を離れて戻ったのだが、依然としてタプタプ状態のままだった。
「さて、どうしたものか?」と思案していると、風呂場の隅に置いてあった詰め替え用(refill)のシャンプーや風呂場を掃除するときのタワシ(scourer)などが入っている金属製の3段になったラックが目に入ってきた。各段の広さはベストを乗せるほどの広さはないのだが、「もしかしたら使えるかな?」となったわけである。