私に声をかけてきた店主(shopkeeper)と思われる男性の年齢は60代後半と言ったところである。無精ひげ(stubble)をはやし、丸いレンズのメガネをかけた、いわゆる「華僑(overseas Chinese)」と呼ばれる人のようである。。
日本で生まれ育ったのか、それとも幼い時に日本に来たのかは分からないが、彼が話す日本語はコミュニケーションを取るには全く差し支えないレベルなのだが、ところどころその発音(pronunciation)やイントネーションに中国人独特のものを感じた。
私は、とりあえず特にほしいものはもちろんなかったのだが、毎日のように使用しているハチミツがなくなりかけていたので、「もし安いものが売っているようであれば買っていこうかな〜」くらいに考えていた。もちろん、なければないで、これまでのようにいつもいくスーパーやアマゾンあたりで買えばいいわけである。
店主:お客さん、何、探している?
私:いや、別に…。
店主:うちのものはとても安い。どれも本物ばかり。
私:そうですか…。
店主:あの棚のフカヒレ、品質とてもよい。ほかの店、倍する。お勧めだ。
私:いや〜、フカヒレはちょっと…。
店主:じゃあ、本当は何探している?
私:まあ、ハチミツが安かったら…。
店主:ああ、ハチミツ、こっちにあるよ。
店主が導いた棚を見ると何種類かハチミツが並べられていて、彼曰く「みんな、中国産の高級品ばかり。でも日本のものよりかなり安い。」私はその一つを手に取って見てみた。もちろんビンに張られているラベルは中国語の表記なのでチンプンカンプンなのだが、おそらく商品名だと思われる中国語の下に「純粹」とひと際大きな文字で印字されていたので、「純粋」なハチミツであることは理解ができたわけである。