レジの係の人が黒いビニール袋を広げると、お客さんの買い物かごからある商品を取り出して入れた。一瞬「何かな?」と思ったが、どうも生理用品(sanitary product)のようであった。多くの女性にとってみれば、生理用品は日常必需品(daily necessities)であり特別なものではないはずで、わざわざ黒いビニール袋に入れる必要性もないように思える。よって「おそらく」なのだが、男性の目を気にしてのことのように思われる。そう、それは経緯で決められたに違いない。
店長:みなさん、今日はお疲れ様でした。さて、今日は月に1回の定例会議(regular meeting)です。よって正社員のみならずパートの人にもなるべく集まってもらいました。我がスーパーとしましては、日ごろご利用いただいているお客様により安心して頂けるようどんな細かいことでも構わないので広く意見を集めて、それを日頃の業務にフィードバックしていきたいと思っています。ですから、普段、業務をされていて「こうだったらいいのに…」というのがあったら遠慮なく言って頂きたいのですが…。
パートA:あの…。
店長:はい、Aさん。どうぞ、思っていることをどんどん言ってください。
パートA:たいしたことではないのですが…。
店長:全然かまわないですよ。遠慮なく言ってください。
パートA:そうですか…。でも、本当に大したことではないのであれなんですが…。
店長:どうぞ、どうぞ。
パートA:ちょっとこの間思ったのですが…。生理用品を購入したお客様、まだ若いお客様だったのですが、レジ打ちをしていてすぐ後ろにいた男性のお客様の視線を気にしているようだったんです。まあ、女性にしてみれば、生理用品は生活必需品で特別なものではないのですが、中には「購入しているところを男性に見られたくない」というお客様もいると思いますので…。
店長:あ〜、そうですか。それは男性では全く思いつかない意見ですね。
レジ責任者(女性):私もかねてから少し気になってはいました…。
店長:そうですか、それでは中身が見えないように黒いビニール袋でも用意しましょう!
従業員:はい、分かりました。
レジで黒いビニール袋を使わなくても、レジが終わればすぐに台に移動して持参した買い物袋などに購入品を入れるので、購入したものが他人に見られる時間は大したことはないはずである。そこをわざわざ黒いビニール袋を使用するというのは、これぞ「日本独特の気遣い」というような気がしてならない。