■ 再 会 ■
小淵沢の駅から県道を北上し、8`ほど走ると別荘地に入る形になる。立て看板があるので「ここからが別荘地だな」と分かるのだが、駅を少し過ぎたあたりから林の中をずっと走るような感じとなり、ときどき道路わきに廃業してしまったようなレストランなどが建っているような場所となった。よって、滅多に東京を出ることがない生活をしている私にとってみれば、駅を少し走ったときから「すでに別荘地」状態であった。
かなり広大な別荘地で、ときどき県道沿いに「い地区」とか「ろ地区」などのように看板が立てられているが、別荘の建物自体はその看板が立てられたところから更に左右に曲がる道沿いにところどころ建てられているので、県道からはその一部の建物が確認できるだけとなる。もちろん、レストランなどのちょっと小洒落た店舗は県道沿いに建てられている。
なかなか先輩の別荘のある「地区」の看板に行きつかなかったのでちょっと心配になり、途中、1回車を停車させて地区を示す看板の横に建てられている地図を確認してみたものの、リゾート地全体像が把握することはできなかった。
よって、「え〜い、とにかく行くだけ行ってみるかっ!」と車を走らせたのだがなかなか看板が現れず、「もう少し走ってなかったら見落とした可能性もあるので引き返してみるか」と思っていると何とか先輩の住む地区の看板があったので「やれやれ…」と思いながらそこを右折した。
すると、道は曲がりくねったカーブの続く上り坂となった。道の左右には、おそらく樹齢30年以上にはなると思われる松などの木々が生い茂り、そのところどころが切り開かれていて建物が建てられていた。個人の名前が記された表札らしきものもが建物がつづく小道に建てられている場合もあったが、企業などの研修所や保養所となっている場合がほとんどのようで、その場合は表札というよりは看板に近かった。また、自治体の所有の「〜市キャンプ場」なるものも見受けられた。
右折してから5分も走らないうちに「道の右側にある緑の屋根の家だから」と説明を受けていたものと思われる家が見えてきたので道沿いにある駐車スペースに車を停めた。また、その駐車スペースにはミニバンが停められていたので在宅を確信した。
一応、インターホンが玄関についていたので押してしばらく待ってはみたが、反応がなかったので家の前の方に回ってみるとご夫婦して草刈の最中であった。そこで、私はすぐに自動車に戻り、ビールの箱を肩に担いで再び家の前に回り、エンジン付きの草刈機で作業をしている先輩にも聞こえるように大きな声で「ご無沙汰しています!」と声を掛けた次第である。