この仮住まいに引っ越してくる直前のことである。前の住まいでいろいろと不要なものを片付けていた時、家族の友人が私を訪ねて来た。
家族の友人:あの〜、熊本で起きた地震で被災した人たちのためにいろいろと生活必需品(daily necessities)を送っていて…。
私:そうですか。それはご苦労様です。
家族の友人:はい。それで、まあ、いろいろと避難生活で必要なものを送っているのですが、こちらでいらないボンベがあるって聞いたのですが…。
私:いらないボンベ?
私は「いらないボンベ」と聞いて、まず最初に頭に浮かんだのがダイビング用のボンベ(scuba tank)であった。それこそ25年近く前に当時の流行にのってスキューバダイビングを始めたわけである。最初はショップのツアーを利用していたのだが、泊まりのツアーも多く、なかなか1泊までして参加する時間が取れなかったので「え〜い、買っちゃえ!」という感じでボンベを購入して、何回か伊豆方面に一人で行ったことがある。
もちろん、「一人で潜る」というのは、万が一の事故のことを考えるとできる限り避けなければならないことなのだが、当時の私は「時間も行く場所も自分で決められるので気楽でいいや!」くらいにしか考えていなかった。
当時は軽のワンボックスカーを所有していてそれで行ったのだが、当時の軽の排気量(displacement)は現在のような660tではなく、確か550tだったはずである。よって、非力感は否定できず、片道100`近い伊豆半島への運転は決して快適なものではなかった。まあ、それなりに楽しかったが…。
結局、マイタンクも10回までは利用しなかったように記憶している。よって、とても元は取れなかった感じである。それ以来、家族から幾度となく浴びせかけられる「もう捨ててもいいんじゃないの?」という冷たい視線を何とかかわしてきた次第である。