もちろん、私は中国語など話せないのだが、中国語かどうかの判断は「だいたい分かるかな〜」くらいには思っている。そのアベックは席に腰を下ろすと会話を始めたのだが、やはり最初に思った通り彼らは中国人のようであった。(もちろん私には台湾人と中国人の区別まではできないが…)
特に気になって彼らの様子をうかがっていたわけではないが、二人はちょっと会話をしたかと思うとすぐに各々スマホを取り出していじり始めたので「今の子らしい」と思ったわけである。そして、電車が八王子を過ぎたあたりのことである(利用した電車は立川にも停まるので、私は立川で下車する予定でだった)私の前に座った女性が、車窓を少し慌てた様子でながめて自分の持っていたスマホを私に見せてきた。
その見せられたスマホの画面には日本語のサイトが呼び出されていたのだが、彼女が何を聞きたいのか意味が分からず首をかしげていると、今度はポケットからJRのチケットを取り出して私に見せたのである。チケットには「東京」と行先 (destination) が印字されていたので、私はつたない英語で「この電車は新宿までしか行かないので、新宿で電車を乗り換えて東京に行くといい」と言うと、女性はあまり納得しない様子だった。私はもう一度チケットをよく見てみると、「東京」だと思っていた行先は実は「京都」だったのである。