さて、「反対してもダメだよ!」作戦の決行である。キッチンの流しで洗い物をしている母親に、面と向かって言うのもおかしかったので、冷蔵庫の扉を開けながらこう声をかけた。
私:「あのさ〜、引っ越しの方が落ち着いたら旅行に行くから!」
母の口からどんな言葉は発せられるかを直立しながら待ち続けるのも何となく作戦がバレるような気がしたので、「特に返事なんか気にしていませんから」感を出しながら冷蔵庫を物色しているふりをして「さて、どう出るかな?」と内心ヒヤヒヤしながら待っていると
母:「どこへ行くの?」
という答えが返ってきた。その一言で一気に目の前が明るくなったような気がした。それは「どこへ行くの?」と聞いておいて、その後で「困るわ!」とはならないと思ったからである。
私:「え〜と、東南アジアの方に行こうと思って…」
母:「危なくないの?」
私:「大丈夫、大丈夫、初めてじゃあないし!」
いや〜、まさに
である。もうそうなったら「善は急げ」で「さて、どこへ行こうかな〜?」となってしまった。