最初に「お札が飛んだ！」と叫んだ男性が、飛んだお札を拾おうと駐車場の方に向かったので、私も「手伝わないと」と思って、それぞれの手には自転車のハンドルを握って帰路に就こうとしていたのだが、再び自転車のスタンドを立てた。

　「よ〜し、おれも参戦するぞ！」とお札が強風で右に行ったり左に行ったりしている駐車場の方に向かったのだが、結果としては、最初に叫んだ男性と駐車場の方にいた女性が拾ったみたいで、3枚とも落とし主である初老の男性に戻された。

　そして、お札を拾った男性が落とし主に「大丈夫、全部ある？」と声をかけたが、まだ、その男性は状況がよく把握できないような感じで「えっ、え、え〜」と答えた。私は、普通なら「あっ、ありがとうございます。助かりました！」ともう少し喜びを込めて返事をしてもよさそうだとも思ったが、「まあ、人それぞれだし…」と特に気に留めることもなく帰路についた次第である。