冷蔵庫の扉を開けるときに前々から少し気になるものがあった。それは扉のトレーの隅にひっそりと隠れるように身を潜めている「 小麦粉 (flour) 」である。私が購入したものではないと思うのだが、もしかしたら母親に頼まれて購入した可能性がなきにしもあらずだが、その辺の記憶は一切ない。　

　私自身、普段の生活の中で小麦粉を使うことなどほとんどなく、ここ5年から10年くらいは「全くない！」と言ってもいいかもしれない。昔は、ホットプレートを用いてお好み焼きなどを焼いたりしたことがあったが、もうここ20年以上はそのようなことはしていないはず。また母親も、もう歳のせいか、自ら進んで台所に立つことなどほとんどないので、私が気が付かないところで小麦粉を使うことなど無いはず。よって、「 賞味期限 (expiration date) 切れ 」なのは疑う余地がなかった。

　ときどき視界に入ってくる小麦粉を見ては「 ちょっとチェックしないと… 」とは思ったりするのだが、いつも「 また今度でいいやっ！」とズルズルと先延ばしにして来てしまった。ただ、先日「 このご時世、いつ何時食料品が思うように手に入らなくなってしまうこともあるかもしれない…」と思い、ちょっと扉のトレーから小麦粉を取り出してパッケージの底を確認すると、2年近く前に賞味期限を迎えていたのである。