煮込んでから1日以上経ち菌が繁殖してしまった野菜を、「これ、食べても大丈夫なのかな〜?」と恐る恐る大根2、3切れを食してみたわけである。食べる前は少し酸っぱい匂いは発していたが、口に入れてみるとそれほど酸っぱさは気にはならない。
だからと言って「全然いけるじゃん!」といつもと同じ量を食べて後でもだえ苦しむのはイヤだったので、数時間様子を見てみた。結果は全く問題なかった。想像するに、鍋の中で繁殖した菌はおそらく納豆菌あたりの有益な (useful) 菌であったのだろう。つまり「 発酵食品 (fermented food) 」となっていたわけだ。
まあ、「 発酵 (fermentation) 」も「 腐敗 (decay?) 」も菌の繁殖がもたらすもので現象としては同じものである。人間にとって有益であれば「 発酵 」だし、有益でなければ「 腐敗 」ということになる。
2回目を食した後の野菜の煮込みは冷蔵庫で保管し、食べるたびに電子レンジでグツグツいうくらい熱を加えるので、3回目以降は酸っぱさや納豆のような匂いを感じることは一切ない、つまり「 1回だけの発酵食品 」ということになる。
それ以降、キッチン常在菌により必ず同じ現象が起きる。何回か「 味噌や醤油を製造する蔵には、その蔵独特の菌が住み着いていて特有の味を醸し出す 」というのを耳にしたことがある、さながら我が家のキッチンが蔵化してきた感じである。