四方山話

タイ・マレーシア フィットネス紀行/四方山話




ここはクアラルンプールの国際空港ではないのか?

 プーケットからマレーシアの首都クアラルンプールまではエア・アジア航空を利用した。あまり聞いたことがない航空会社である。別に航空関係や旅行関係の仕事をしているわけでもなし、世界中あっちこっち行っているわけでもないので、私が知らないローカルな航空会社はいくらでもあるのだろう。メジャーだろうが、ローカルだろうがどちらでも構わない。要するに堕ちなければよいのだ。
  搭乗券には座席番号らしきものが見当たらないので、機内でフライトアテンダントに尋ねてみると、「free seat(自由席)」とのことで、「今まで飛行機に乗って、自由席なんてあったかな?」なんて変なところに感動してしまった。
  飛行機は予定よりも10分遅れてプーケット国際空港を離陸した。購入したチケットには「13時30分出発、15時30分到着」とあり2時間のフライトである。2時間くらいであればさほど問題ないが、6時間、7時間となってくると、腰痛持ちなので辛くてしょうがない。
  しかし、1時間もすると「まもなくクアラルンプール空港に到着する」旨のアナウンスが流れたので、聞き間違えかなと思っていると、「シートベルト着用」のランプがつき、機体は少しずつ高度を下げていった。
  いま一つ、プーケットとクアラルンプールの位置関係が分からなかったが、「時差」があったのである。何か得したような気分になってしまった。
  さて、私が乗ったアジア・エアーの飛行機は無事にクアラルンプールの国際空港に到着し、「シートベルト着用」のサインも消え、頭上のボックスから手荷物を取り、機を後にしたが、タラップが用意されていた。
  最初、タラップを降りてバスに乗るのかなと思っていたら、バスなどどこにもなく、みんなターミナルまで歩いているではないか。「おお、なんとおおらかな国際空港なんだ!」とまたまた感心。
  数分歩いてターミナルに着き、入国審査を済ませ、荷物を受け取ったが検査など一切なかった。
  さあ、ここから予約を入れている宿まで行かなければならない。一応、マレーシアの「地球の歩き方」は日本で購入して携帯しているが、ほとんど目を通していない。ただ、宿までは無事に到着しなければならないので、パラパラとめくってみると、私の宿は「ブキッ・ビンタン」というモノレールの駅から徒歩で5、6分のところにある。
  で、その「ブキッ・ビンタン」駅へは、空港からクアラルンプールの中央駅(KL Sentral)まで行き、そこから電車に乗り換えるか、タクシーでも大して料金がかからない旨の説明が書いてある。
  そして、その中央駅までの行き方だが選択肢が3つほどある。
   @空港タクシー:67.4RM、所要時間1時間
   AKLIAエクスプレス(空港、中央駅を結ぶノンストップの専用電車):35RM、所要時間28分、
   B空港バス:10RM、所要時間1時間から1時間30分だが渋滞に巻きこまれる可能性もあり。   ※タクシーの場合は宿泊地まで直行してくれる。

 日曜日だったので渋滞はないのではないかと思い、バスも考えたが、AのKLIAエクスプレスの安心路線で行こうと決めた。
  いずれにしても、両替をしないとチケットの購入は無理である。税関審査を終え、あたりをキョロキョロしたのだが「EXCHANGE」(両替)のサインがどこにもない。「おいおい、バンコクだったらいくらでもあるのに!」と不平不満を漏らしてもしょうがない。他国と比べても仕方がない、ここはマレーシアなのだ!
  しばらくウロチョロしていると「EXCHANGE」(両替)の看板を見つけることができた。私は首からぶら下げている貴重品入れから米ドルのトラベラーズチェックを係の者に見せ「OK?」と聞くと、首を横に振って「Cash, only.」というではないか。「おいおい、なんていう国際空港なんだ、米ドルのトラベラーズチェックが使えないなんて!」と心の中で叫んでみたが、どうしようもない。泣く泣く3枚ほどあった1万円札の1枚を両替せざるを得なかった。(本当はあまり使いたくなかったのだが…。)
  さあ、とりあえずこれで現地の通貨(RM)は手にすることができた。後はKLIAエクスプレスの乗り場を見つけ、とりあえず中央駅まで行かなければならない。その間、何度となく「タクシー?!」と運ちゃんから声をかけられたが、一切ムシkingである。
  中には「国際線のターミナルまで行くのか?」と変なことを言う運ちゃんもいる。とにかく、ムシ、ムシ、ムシkingなのだ、そのようなお誘いは!
  「Information Center」(案内所)があったので、「地球の歩き方」に写っているKLIAエクスプレスの写真を見せ「これに乗りたいのだ!」と告げると、「外に出て、緑色のバスに乗って国際線のターミナルまで行ってください。1.5RMです。」というので、「Thank you.」と言って外に向かったのだが、「国際線のターミナルって、ここは国際線のターミナルじゃないの?」と頭の中が「??????」でいっぱいになった。背負っているザックを下ろし、腰を落ち着かせて「地球の歩き方」のページをめくってみた。
  そうすると、「格安航空会社専用ターミナルLCC-T」という説明があるではなか、以下がその説明文になる。
  「格安航空会社専用ターミナルLCC-T(Low Cost Carrier Terminal)は、KLIAと同じ敷地内にあるエア・アジア専用のターミナル。かつては貨物専用のターミナルだったところを旅客用に改装した。KLIAと同じ滑走路を利用するが、空港の敷地をぐるりと回るためKLIAのメイン・ターミナル・ビル(MTB)からは10qほど離れている。KLIAのメイン・ターミナル・ビルとはシャトルバス(エアポートライナーAirport Liner)で結ばれている。(所要時間15分、RM1.50)」
  「エア・アジア専用のターミナル」ということは、今、私はこのターミナルということになる。しかし、「格安航空会社専用ターミナルLCC-T(Low Cost Carrier Terminal)」というネーミングはあまりにも直接的で、貧乏人をバカにしたネーミング以外の何物でもない。差別だ!明らかに貧乏人を差別している。隔離しているのだ!
  エア・アジア航空しか利用しないのであれば、当然「エア・アジア専用ターミナル」とならなければならない。誰が考えてもそうなるはずである。「クソッ!どうせ俺は貧乏だよ。ボンビーだよ。銭金だよ!訴えてやる!」といじけ根性を丸出しにするのであるが、それ  では問題は解決しない。「とにかく宿まで行かなければ」と再びザックを背負い、ターミナルの外に出て、緑色のバスを探した。
  あいにく、緑色の国際線ターミナル行きのバスは来ていなく、青や黄色の車体のバスは何台か停車していた。
  バスの案内係のおじさんに「国際線のターミナルに行きたいんだけど…。」と告げると、
  「緑色の車体のバスに乗りな。もうちょっとで来るから。」
  とのこと、間を開けず、
  「どこまで行くんだ?」
  「ブキ・ビンタン駅の近くの宿まで。」
  「それだったら、この黄色のバスに乗って行けばいい。国際線のターミナルに行ってKLIAエクスプレス乗っても、中央駅でまた電車に乗り換えないとならないぞ!このバスだったら15リンギットでホテルまで乗せて言ってやる。」
  と言ってくれるではないか。
  最初、このおじさんの15の発音が「fifteen」なのか「fifty」なのか良く聞き取れなく、何回か繰り返して聞いたら、ボールペンで自分の手に「15」と書いてくれた。(公共の乗り物の案内係だからボルようなことはないと思ったが、15と50ではえらい違いなので、一応確認しておきたかった。)
  ラッキー、明らかにラッキーである。15リンギットで宿まで連れて行ってくれるのだから。速攻でおじさんに「乗せてくれー。」とお願いした。するとおじさんは、
  「ところで何て言うホテルに泊まるんだ?」
  というので、「いや、ホテルというほどのものじゃないんだけど…」とモジモジさせながら、おじさんに「地球の歩き方」に載っている地図を指差して、
  「このPD Lodgeというところだ。ここまで連れて行ってくれ!」
  と言うと、なにやらバスの運ちゃんとやり取りをしているではないか。マレー語で話していると思われるが、もちろんマレー語などチンプンカンプンである。
  ただ、その中で「ブキ・ビンタン」という単語だけは聞き取ることができた。何回かのバスの運ちゃんのやり取りの後で、おじさんは振り返って私にこう言い放ったのある。
  「あなたのホテルはオレ達が持っているリストに載っていない。」
  「どうせ、オレの宿は安宿だよ!貧乏、ボンビー、銭金だよ!悪かったな!今度こそ本当に訴えてやる!」とまたもいじけ根性丸出しにするのだが、それでは何も解決しないので、
  「じゃ、ブキ・ビンタン駅で降ろしてくれれば、後は歩くから…」
  とおじさんとバスの運ちゃんに「お願い聞いてくれないと、泣いちゃうから」光線を浴びせると、効果があったようでバスの運ちゃんがアゴで「乗れ」と言ってくれた。
  バスに乗り込み、適当な座席に腰を下ろした。大型のバスであったが、乗客は10人程度。空港の敷地を出て、10分もしないうちに高速道路に入ると「KUALA LUMPUR 50Km」という標識が視界に入ってきた。
  そして、1時間半後には、予約を入れておいた宿のベットの上に腰を下ろし、ホッと一息ついたのである。


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