インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - カンボジアフィットネス紀行/日記
タ ・ プロム寺院
タ・プロム寺院はタマウ動物園からプノンペンに帰る途中にあり、動物園からの距離は12qほどで、トゥクトゥクで15分ほどのところになる。特に予備知識があったわけでもなく、寺院に興味があるわけでもないのだが「まあ、途中にあるので…」ということで寄ってみた。
寺院の手前で1$の拝観料が取られたが、動物園のときと同じようにドライバーの分までは取られることはなかった。これもまた動物園のときと同じのだが、トゥクトゥクを降りるとさっそく売り子らしき人たちに囲まれてしまった。ただ、動物園と違ったのは、売り子の年齢はかなり若く、小学生の高学年からから20歳くらいの女の子であった。ある子は30pくらいはあると思われるような長い線香の束を握り、またある子はハスの花の入ったバケツを抱えていた。
彼女たちは私を取り囲むと、自分の持っているものを私に差し出して「ミスター、お花を買ってください!」とか「お線香を供えてください!」と攻撃してきた。私も、まあ、いつものように「No!」を連発しながら寺院の方に歩み始めたのだが、相手も手強くなかなか引き下がってくれなかった。しまいには「売れないと学校に行けないの」とか「お母さんに怒られる」と言い出す始末である。
「どうせウソに決まっている」とは思いながらも、カンボジアなのであながち100%否定できないところはある。だからといって「しょうがない。買ってあげるよ!」という気にもそう簡単にはなれない。なにせ相手は一人ではないわけで、一人から買ってしまえば「じゃあ、私も!私も!」となるのは確実。よって、いつもよりも少し構えて「No」を連発しながら歩みを進めた。
ほとんどのケースはそこで諦めてくれるのだが、彼女たちは一向にその気配を見せなかった。その理由は容易に想像ができた。それは、私を逃すと次の「商売相手」がいつ来るのかわからないからである。このタ・プロム寺院は、いわゆるシエムリアップにあるようなアンコールワットやタ・プローム寺院のように多くの人を呼ぶような有名な観光名所ではないからである。
私は彼女たちに囲まれながら寺院の正面にあたる少し奥行がある門のようなもの中に足を踏み入れた。中は薄暗く最初は何があるのか分からなかったのだが、眼が暗さに慣れてくると中の様子がだんだんわかってきた。私の正面には小さな仏像なようなものが置かれていて、花や線香が供えられるような場所になっていた。そして、80歳を過ぎていると思われる女性が数人待機していたのである。線香の煙が立ちこめ、何本かのろうそくにはすでに炎がともされていた。そして、中央に置かれたバケツにはハスの花が供えられていた。
私がちょっと呆然として立ちすくんでいると、私の両脇にいる例の若い売り子たちは、ここぞとばかりに「ミスター、ちゃんとお花を供えないとダメよ」とか「お線香を焚かないと神様に失礼よ!」と攻撃を再開した。
神の存在など信じていない私でも、「郷に入っては郷に従え」くらいは理解できるつもりである。よって、現地の人がみんなそのようにしてお参りしてるのであれば「オレは外国人なんだから別に構わないでしょ!」という気にはなれなかった。
彼女たちもそれを察したのか「ここで一気に畳み掛けるぞ」という感じで「ミスター、ミスター」と言いながら自分たちが手にしている花や線香を押し付けてきた。私も、さすがに「買って!買って!攻撃からもう解放されたい」という気持ちも強くなり、1人の子からハスの花を、そしてもう1人の子から線香をそれぞれ2$で買った次第である。
ハスの花は中央にあるバケツの中に、そしてお線香は、そこに待機していた年配の女性に火をつけてもらって大きな線香立てに立てた。そして手を合わせてから先に進もうとすると、女の子の一人が「この人達にもちゃんとお礼をしないと…」と言ってきたので、もう金額の方はハッキリとは覚えていないが、1$くらいは待機していた年配の女性に渡していると思う。
その後も寺院の中に入ると「物乞い」がいたりして、ゆっくり見学した記憶が全くない。適当に回って「もういいやっ!」という感じでトゥクトゥクに戻ったのだが、最初にいた女の子の1人が最後まで私に「私からは何も買ってくれなかった!」と付きまとってきた。さすがにもう相手にする気にはなれず、ドライバーに「さあ、帰えろう!」と言ってトゥクトゥクに乗り込んだ。
私たちが帰りかけたときに、また別の観光客が3人ほどトゥクトゥクでやってきたので「また、彼女たちの波状攻撃が始まるのかな…。どのような展開になるのかちょっと見学したかったな〜」と思ってしまったわけである。
・ タ・プロム寺院
正直言うと、売り子たちの攻撃を避けるのに必死で、ゆっくり建造物を見学している余裕など全くなかった。
・ 強 者
いや〜、この子の「買って!買って!」攻撃はすごかった。写真の奥の方に見える建物を差して「あそこの学校に通っているの。買ってくれないと、学校に行けなくなってしまう!」と攻めてきた。確か、彼女からはハスの花を買ったと思うのだが、私が寺院を後にする時には大きく手を振って「ミスター、ありがとう!」と見送ってくれた。
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