・ 動物園まで
・ 園 内
■ 動物園まで ■
市の中心部を中心に偏りがちな観光に「少し郊外の風景も見てみたい」ということになった。ただ、ただ漠然と郊外の道を走っても仕方がなく「どこか適当な観光地はないだろうか?」と探したところ、動物園があるのを発見。さっそく、トゥクトゥクでその動物園を目指してみた。
途中まではキリング・フィールドに行く道と同じだったので、「前にも通っているな」という感覚はあった。そこを過ぎると、道路の両側に広がる景色はそのほとんどが田園風景となり、ときどき民家や商店の集落がある程度となった。
動物園までの道路は、基本的には舗装路にはなるが、まだ舗装技術が確立されていないのか、それとも保守点検がしっかりとできていないのかは定かでないのだが、ところどころアスファルトがはがれているところがあった。また、道路のほとんどは緩やかな凸状となっている。つまり、道路の中央部が盛り上がった形状になっていた。
また、道路の両サイドは基本的には未舗装になっているので、乾季のこの時期、主に道路の端を走るバイクなどによって舞い上がる砂埃には閉口させられる。「オレも現地の人のようにマスクでもすればよかったな〜」と後悔したほどである。
動物園の入り口は幹線道路から5qほど入ったところにある。事前にインターネットで調べてみると、幹線道路から動物園に通じる道路は「未舗装だ」となっていたので、「未舗装路を5qも走るのは大変だろうな〜」と思っていたが、すっかり舗装路になっていたので助かった。
また、その道路の周りなのだが、幹線道路を走っているときに見られたものとはかなり異なっていた。幹線道路を走っているときは、その周りに広がる畑は明らかに稲作畑であったが、動物園の入り口までの道路の周りの景色は、雑木林の中に畑が点在しているような感じで、ややもするとその区別がつかないものも多かった。しかし、ときどき「おそらく電気も通っていないのだろうな〜」というようなあばら家風の家が点在していて、その周りは耕作地となっているのがわかった。おそらく、主に自分たちで食べるための農作物を作っているのだろう。
この動物園に通じる道を走っていて「あれっ?」と思ったのが、数百メートルおきに人が立っていたりしゃがみこんでいたりしているのである。 その多くはかなり年配の人たちで、中には幼子を連れている人も見かけた。最初は、何か物を売っているわけでもなく「炎天下のこんなところで何をしているのだろう?」と不思議であったが、すぐにその理由が分かった。
私が乗ったトゥクトゥクが道端に立っている一人の老婆の前を通り過ぎようとしたとき、その老婆は私に向かって手を合わせた。つまり、彼らは「物乞い」をしていたのである。特にこの日は日曜日で、家族連れで動物園を訪れる人も多いため、彼らにしてみれば、施しを受けるいい機会であったのだろう。
ただ、その動物園まで延びる道を歩いている人などは皆無なので、もし彼らに何かものを恵むとしたら車を止めてなければならない。よって、「わざわざ走っている車を止めて恵んであげる人などいるのだろうか?」という気がしないでもない。まあ、中にはきっといるのであろう…。
■ 園 内 ■
このタマウ動物園の敷地はかなり広大である。ちょっと資料不足でどのくらいの広さかは分からないのだが、とにかく広い。それは何を意味するかと言うと、「歩いては回れない」と言うことになる。つまり、自動車やトゥクトゥクなどの乗り物に乗って見て回る動物園となる。
私は当日はトゥクトゥクで行ったわけだが、入口ゲートで5$入園料を支払ったときに「ドライバーの分も支払わないといけないのかな〜」と思っていると、さすがにドライバーを「お客さんを連れてきた」ということで取られることはなかった。
「乗り物に乗ったまま見て回る」と記したが、もちろんサファリパークではないので、乗物から1歩も外には出ないということではない。檻と檻の間を乗り物で移動し、あとは乗物から降りて動物を眺めることになる。ただ、1ヵ所だけ10分から15分くらいかけて歩いて見て回るところがあった。
ドライバーの「さあ、着いた!」という言葉に促されてトゥクトゥクをお降りたのだが、私の降りる姿を見てすかさず売り子などが何人か寄ってきた。「ミスター、サルや象にあげるバナナはどう?」とか「冷たい飲み物ありますよ?」などと波状攻撃を受けるわけだが、「No, No」と言いながらあまり相手にしないで歩いて回るエリアの入り口のほうに向かったが、もちろん、相手もそのくらいではあきらめない。
私の後を続いて前後から波状攻撃の第2弾が始まる。それでも2〜3分も「No」と言い続けていると、さすがに売り子さんはあきらめて戻っていった。場合によっては諦めが肝心で、客は私一人ではない。この日は日曜日なので、次から次へと家族連れがやってくる。そんな中、30代半ばくらいと思われる男性が一人残った。手招きして「俺について来い!」と言っている。つまり案内役を買って出ているわけだ。
まったく「やれやれ」である。どうもロックオンされたみたいで「No」と言ってもしつこくついてくる。というか、先頭に立って「こっちだ、ここっちだ。次はこっちのオリだ!」と言っている。この男性、英語は全く話せない。というより、しばらく彼のジェスチャーによる案内を聞いていて、現地の言葉もまともに話せないような感じで、聴覚に障害があるようであった。
オリの中に動物が1匹いれば右手の人差し指を立てる。2匹の場合は人差し指と中指でピースサインとなる。また、その動物がオスの場合は親指を立て、メスであれば小指を立てる。メスのお腹に赤ちゃんががいる場合は、自分のお腹を手を使って膨らませ、「卵を産んだ」というときは、手の親指と人差し指で輪を作って(OKマーク)それを自分のお尻から出すまねをして表現したりする。
頼んでもいないのに案内役を買って出るということは東南アジアの観光地を回っていると、ときどきああることである。市場であれば、自分の(又は知人の)お店に誘導するケース、そして観光地であればガイド料を求められたりする。まあ、どちらにしても、案内が終わって「どうもありがとう」だけで済むわけがなく、トラブルにななるケースも多い。よって、私はなるべく早めに「案内不要」な旨の意思表示を心がけている。
ただ、この時は途中からトゥクトゥクのドライバーも加わって歩いて見て回ったので、「ガイドと言うほどのガイドにはなっていないが、高い請求はしてこないだろう…」と彼のやりたいようにさせておいた。一通り見終わって最後の最後にトゥクトゥクのある場所まで戻ってきたときに「いくらあげたらいい?」とドライバーに尋ねると「Up to you.」(あなた次第だ)ということだったので「仕方がない。2$くらいやるか…」と思ったのだが、あいにく細かいお札がなかった。
よって、「細かいお金がないので立て替えておいてくれるか」とドライバーに託すと、うなずいて自分のズボンのポケットに手を突っ込んで札束を取り出した。「いくら渡すのかな?」と見ていると、札束の中から1$札を1枚取って渡していたようであった。案内した男性はもう少し欲しそうな顔はしていたが、特に文句も言ってこなかったので託して正解であった。
さて、今回訪れたタマウ動物園だが、動物によっては(熊など)そこそこの展示の仕方をしていたが、そのほとんどは「林の中にオリを置いただけ」感は否めない。通常の動物園に見慣れている人であれば「なんだかな〜」となってしまうに違いない。
よって、「動物をじっくり見るところ」というよりは、特にこの日は日曜日だったので「カンボジア人の休日の過ごし方を見るところ」と言った方が正解かもしれない。園内の木陰を利用してごゴザを敷いて一家で食事を取っている光景はあっちこっちで見られたし、園内には食事を提供している小屋なども立てられている。
その小屋の周りには食事をする場所があるわけだが、地面から1mくらいの高さの高床式?になっている。
もちろん強い日差しを避けるために屋根はついているのだが、プラスして、必ずと言ってよいほど食事をするスペースにはホンモックがいくつかぶら下げられている。もちろん、主に食事を終えた人が利用するためのものになるが、空腹を満たした体をハンモックにゆだねると、冷房などがなくてもさぞかし気持ちがよいことだろう。
・ 動物園に通じる道
動物園の入り口い近い場所から撮影したもの。この写真には写っていないが、もう少し幹線道路の方に向かうと、道路の両側で物乞いをしている人たちを見かける。
・ トゥクトゥクと私
これから帰路につくところ。
・ オ リ
これは何の動物が入っていたのかは忘れてしまったが、歩いて回るコースの中にあったオリの一つ。熊などの特別なものをのぞいては、広い狭いの差はあってもオリはみんなこんな感じである。
・ ワ ニ
餌でももらえると思ったのだろうか、私が近寄ると口を大きく開けた。ワニの個体数は比較的多く、繁殖にも成功しているようである。
・ 何鹿だったかな〜?
歩いて回るコースの最初の部分。餌の匂いがしたのだろう、けっこう立派な角の鹿が餌を持った女性のところに歩み寄ってきた。
・ 熊の展示
熊の展示にはそこそこ力を入れている。また、展示のみならず保護センターにもなっているようだ。
・ 鳥
何の鳥だったかな〜。くちばしがけっこう鋭く、近づきすぎるのは危険な感じがした。
・ 帰路の途中の売店
動物園に向かう幹線道路にはこのような掘立小屋の売店をいくつも見かけた。トゥクトゥクのドライバーが「買いたいものがある」と言うので寄った。
・・ 何のフルーツだろう?
写真に写っているフルーツが道端で売られているのをよく見かけた。ドライバーが購入をして、ちょっと試食させてもらったが、はっきり言って美味しくなかった。インターネットで調べてみると、Cambodian palmとかSugar Palmという名称になっているが、和名は不明。ドライバーが「あの木になっている」と指さす方向を見ると、ヤシの木のような高さのある木であった。
⇒ 実がなっている木を写した写真を掲載しているサイト
・・ 自家製ソーセージ?
売店に売られていて、最初は少し変わった形の自家製のソーセージか何かかと思ったら、カエルであった。カエルの肉は居酒屋かなにかで食べたことがあるが、写真の膨らんだ部分はどう考えてもお腹で、その下に足がついている。このふくらみって内臓がそのまま入っているのだろうか?それとも何か詰めているのだろうか?残念ながら「試しに買ってみよう」という気にはなれなかった。
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