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トッピクス - 旅に出よう - 国内・自転車旅

 

 

 

 さて、出発初日である。ハンドルの前のキャリアにフロントバックを乗せ、自転車の前輪の左右のキャリアにサイドバックを付け、そして後ろのキャリアにリュックを乗せてサドルにまたがり、家族に「じゃあいてきます!」と言って実家を後にし、甲州街道を目指した。

 府中市に高校時代の友達がいるので彼のところに顔を出し「出発するから」と挨拶をした。彼も「気をつけてな!」と見送ってくれた。私はUターンしようと思って自転車を傾けたのだが、その重さに耐えきれなくコケてしまったのである。

 ただ、それだけれあれば良かったのだが、何と初日でライトを破損してしまった。彼はその光景を見て、腹を抱えて大笑いしやがった。「お前、「おい、大丈夫か!」と心配するのが親友だろう!」とも思ったが、あまりにも自分が無様なだけだったのであろう。誠に情けない…。

 もちろん、「やーめた!」などと言うわけにはいかないので、気を取り戻して「じゃあ、今度こそ!」と彼に手を振り甲州街道に出た。

 甲州街道は交通量が多くてとても車道を走れるものではない。歩道をゆっくりと八王子方面に向かった。八王子の市街地を超える頃、ようやく車道を走れるようになった。

 そのまま甲州街道を高尾に向かった。左右に山並みを眺める頃には空気も澄み、少しヒヤッとするぐらいである。そして、大垂水峠に続く上り坂となる。バイクに乗っていたころはよく来ていたので風景自体は見慣れたものだったが、今回は「アクセル開けてブーン」というわけにはいかない。自分の足で漕いで登っていかなければならない。ギアを軽いものにしても荷物が重いためかなり辛い。

 それでも何とか峠まで来ると、後は相模湖までのご褒美の下り坂が待っている。これがとても気持ちがいい。漕ぐ必要は全くなく、バイクの時の機械的なエンジン音もない、聞こえてくるのはかすかなタイヤ摩擦音と風を切る音だけである。

 しばらくすると、眼下に相模湖が見えてきた。甲州街道から相模湖の方に下りる道に入り、湖畔の公園で休憩を取った。ここからは今まで走って来た甲州街道には戻らず道志村に通じる道を走ることになる。休憩所を出発すると再び上りとなる。そろそろ相模湖も完全に見えなくなってきた頃、後輪に違和感を感じた。漕ぐのを止め、タイヤを覗き込むとかなり空気が減っているのが分かった。

 「かなり上り坂を上って来たし…」と携行していた空気入れで空気を入れて再び出発したのだが、10分も経たないうちに後輪がゴツゴツというようになった。パンクである。「うわ〜、初日からついていない!」と道端でパンク修理をするハメになってしまった。

 修理には詳しくないのだが、さすがにパンクくらい自分で修理ができないようだと長距離は走れない。バックから工具を取りだし慣れない手つきで修理をしていると1台の車が停まり、ドライバーが身を乗り出して「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれた。もちろん間違っても「ちょっと自信が…」などとは言えないので、「済みません。大丈夫です!」を答えると、「じゃあ、気をつけて!」と去って行った。

 時間はかかったものの何とか修理も無事に終わり、再びサドルに腰を下ろした。当初の予定では、その日はどこまで走る予定だったのかは分からないのだが、しばらく漕いでいると、道志村のあたりで「民宿」が見えたので、聞いてみると「泊まれます」との返事なのでお世話になることにした。宿泊客は私一人であった。しかし、初日からこれだと先が思いやられる。

 

備考