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トッピクス - 旅に出よう - 国内・自転車旅行

 

 

 

  それでも2年近くツアーに参加していると、かなり慣れてきてそこそこ楽しめるようになってきた。そうすると、わざわざツアーに参加するのも少し面倒になり、自分でタンクを購入して一人で出かけるようになったのである。ただ、基本的にはダイビングは一人では行わない。万が一の時のために、バディと一緒に潜るのが鉄則ではあったが…。

 また、いつも一人で潜ってもつまらないので、大学時のクラブの後輩に「オレが教えてやるから」と声を掛け、一緒に連れて行ったりした。

 やはり、自分で行く場合もどうしても伊豆になってしまう。朝早く、山下達郎などの曲を聴きながら伊豆方面に向かった。「青い♪♪水平線を♪♪いま駆け抜けてく♪♪」(RIDE ON TIME)

 冬場、水の透明度が増して来るような時期であれば、伊豆あたりでもそこそこ楽しめるのであろうが、とても海中で震えながら潜るということは選択肢にはなかった。そんな思いをしてまで潜りたいとはまったく思えなかったのである。

 よって、年内は11月の上旬まで、年が明けてからは4月くらいから潜り始めた。夏の伊豆は最悪である。みそ汁の中を潜っているのでは、と思うような時もある。前が見えないので、手を伸ばしながら少しずつ進んでいかなければならないこともあった。よって、伊豆で潜っている以上は「 コバルトブルーの海でトロピカルフィッシュと戯れる」なんて言うのは夢のまた夢となる。こればかりは致し方がなかった。

 しかし、今回の旅でやっと南の島々を訪れる機会ができたのである。これは、もう逃すわけにはいかなかった。鹿児島の宅配便の営業所止めでダイビングの道具(ウエットスーツは除く)を送ってもらい、それをいつも後ろのキャリアに乗せていたリュックにいれて携行したわけである。かなり自転車は重くなったが…。

 そこで、奄美大島でM家にお世話になっているときに、ダイビングショップを調べてもらった。電話を入れると、「明日、車で迎えに行きます」という返事であった。「これでやっと夢が叶う!」と 心躍らせた次第である。

 翌日、9時頃、年齢でいうとアラサーくらいの女性の人が車で迎えに来てくれた。車内で「自転車で旅行中なんです」と言うと「あっ、私、見ましたよ!荷物をたくさん積んで旅行しているんだ…」と思っていました、とのこと。まあ、島は広いようで狭い。

 車は一度、ダイビングショップに寄りそこから再び20分くらい移動したであろうか、ダイビングポイントに移動した。そこは砂浜で、浜からのエントリーとなった。きれいな海が目の前に広がっているのだが、一抹の不安はあった。実は、しばらく潜っていないのである。3年くらいは全く潜っていない。

 まあ、「心配していても仕方がない!」とレンタルしたウエットスーツに着替え、タンクに装備を装着していった。記憶は定かでないのだが、インストラクターを合わせて6、7名いたような気がする。浜からエントリーしてポイントにつくまでしばらくは海面を移動した。そして、ポイントに着いてから潜行したわけだが、これが今までに経験したことがないような透明度であった。逆に、透明度が良すぎて少し怖くなってきた。潜行していくうちに心臓の鼓動は早くなり、顔面も蒼白となっていくのが分かった。海底について2、3分もしないうちに、インストラクターに親指を突き立てて何回か上下させ、海面に戻りたい旨を伝えなければならなかった。

 二人で海面まで上がって浜まで戻ると、インストラクターは「わたし戻りますから、ゆっくり休んでいてください」と再びポイントまで戻っていった。

 わたしは、タンクを下ろし、ウエットスーツのジッパーを緩めて砂浜の上に仰向けになって休んだ。しばらく休んでいると体調の方もかなり回復していった。太陽の強い日差しが顔に差しているのが分かった、「あ〜あ、せっかく南の海に来たのに…」という悔しさや情けなさは抑えることはできなかった。

 2本目は私に気を使ってくれて、もっと浅いポイントでダイビングしたように記憶している。いろいろとご迷惑を掛けてしまった。

 

備考