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仲之御神島

 

 

 ダイビングライセンスを持っていて、ダイビングをしないで西表島を離れたら、その魅力は半減してしまうと言っても過言ではないほど、西表島はダイビングのメッカでもある。滞在中、2日ほどダイビングに充てた。

 

仲之御神島

 「なかのかみしま」または「なかのうがんじま」と読み、通称、「オガン」と呼ばれている。西表島の南西約15kmの東シナ海に浮かぶ無人島で、見ようによってはヒョウタンのような形に見える。島の周りの海底にはいくつかの根があり、イソマグロなどの大型の回遊魚が見れるとあってダイバーにとっては憧れのポイントとなっている。

 当時のいるもて荘は、「くまのみ」と呼ばれるダイビングショップも併設していた。ペアレントさんのお父さん(旦那さん)の方がガイドも努め、ボートも所有していた。その当時で、50代半ばくらいの年齢だったと思う。よって、続けていればかなりの高齢なのだが、いるもて荘のサイトを見ると、ダイビングショップ「くまのみ」に関しての記載は全くない。よって、現在はいるもて荘自体でのダイビングツアーは組んでいないのかもしれない。

 さて、この「オガン」まではボートで1時間ほどかかった。外洋に出ると波はけっこう高く、「これ以上高くなると引き返す可能性もある」とのお父さんの言葉。私は、船には弱い方でもなく強い方でもない。そんな私にとっては「これ以上高くなるとヤバイ!」くらいの海の荒れ方だった。

 50分もたったであろうか、お父さんの「見えてきた!」の言葉に、「えっ、どこどこ?」と船が向かっている先の海原に目をやると、小さく島が見えてきた。

 それから10分もたったであろうか、島が目前に迫り、その岩肌なども確認ができるようになると「さあ、着いたぞ!」の声。ここは「東の根」というポイントである。根にアンカーを降ろして、ボートを係留した。「さあ、準備、準備!」の言葉に、ダイビングに必要なタンクやフィンなどの機材を身につけるのだが、船が揺れるのでなかなかスムーズに運ばない。ときどき「おっとっと〜」と船のヘリに手を添えて身体を安定させないとならない。

 しかし、このポイントまでも船は揺れていたのだが、船が進行していたので揺れ方はけっこう一定の揺れだったようだ。しかし、停止してからはいろいろな揺れ方をするようになり、へたをすると酔ってきそうだったので「これは早く潜った方がよさそうだ」ということで、急いで準備をし、海に入った次第である。

 海に入ってすぐに分かったのだが、潮の流れがかなり速い。ボートに手を当てながら流されないようにして、船首のアンカーロープの所まで移動し、ロープをつかみながら潜行した。もちろん水中も潮の流れは速く、吐いた空気の気泡が上ではなく横に流れていくように感じた。とてもロープにつかまりながらでないと潜行は不可能なくらい潮の流れは速かった。

 根の上はテーブル状になっていて、直径はどのくらいあったであろうか、記憶違いでなければ7、8mくらいはあったような気がする。アンカーはその端に掛けられた。ロープ伝いに潜行をし、根の上までたどり着くと、根の上はほぼ平らだが岩の割れ目などもあるため、その割れ目に指先を掛けて移動していった。

 それまでは潜行するのに必死であまり気が付かなかったのだが、よくよく眺めてみると、根の周りをイソマグロが回遊しているのが分かった。全く今までに体験したこともないような景色であった。体長的には、優に2mはこえているものも何匹かは目の前を横切って行った。彼らは、私たちの存在など「また来たか…」くらいに、ほとんど意に介せずに悠々と根の周りを泳いでいたのである。

 ちょっと根の下に視線を移すと、大型ではないが、おそらく40から50pくらいの黒っぽい魚体が群れていた。しかし、ずっと下を見ていると「このまま落ちていったらどうなるのだろう?」という感覚に陥り、少し「恐怖」のようなものを感じた。よって、少し斜め頭上を回遊するイソマグロに集中した。

 とりあえず、特に問題もなく1本目のダイブを終え、島岸の波が穏やかな場所に移って昼食の時間となった。お父さんからは「おい、大丈夫か?メシ、食えるのか?」と声を掛けられたが、「いや、別に…」と少し痩せ我慢をして、何とか用意された弁当を胃の中に収めた。

 昼食後はしばらく休んで、ボートの周りでシュノーケリングを楽しんだ。大きな伊勢海老なども目の前に出てきたが、さすがに取るわけにはいかない。2本目も1本目と同様に大型の回遊魚を楽しむことができ、私たちは無事に帰路に着いた。しかし、下船してからもその日いっぱいは、ずっと船の上にいるようだった。

 

 

※YouTubeの張りつけ動画は、本文との直接的な関係はありません。

 

備考