トッピクス-バイク・国内ツーリング
私の当時のバイク好きは近所にいる人の影響を100%受けている。目と鼻の先にバイク好きの三兄弟が住んでいて、私が小学校6年生くらいのころからときどきバイクの後ろに乗せてもらっていた。
彼らの乗るバイクは国産車ではなかった。今でも鮮明に記憶に残っているバイクが2台ある。まずその1台は「ドカティ450デスモ」で、黄色い単気筒のイタリアンなバイク。何が印象に残っているかと言うと、そのエンジンの掛け方にある。
その頃、ほとんどの国産車には、125tを超えない原付(50CC)などの排気量の小さなものは除いて、セルスターターが付いていたような気がする。(とは言ってもスズキの38やカワサキのSSシリーズはキックだけだったかな…)つまり、ボタン一つでエンジンがスタートするのである。今となっては、それは「当然の父ちゃん、母ちゃん、河童の屁」になってしまったが…。
でも「ドカティ450デスモ」には、セルスターターは付いていなく、キックをしてエンジンをスタートしなければならなかった。バイクに乗らない人は当然分からないと思うが、排気量が大きいほどキックしてエンジンをスタートさせるには力が必要となる。
「450ccの単気筒」となると、全体重をキックペダルにかけなくてはならない。バイクにまたがり、左右それぞれのハンドルのグリップをしっかりと握って、右足をキックペダルにかけて思い切り下に踏み込むわけだが、踏み込む前に一瞬身体を宙に浮かせて勢いをつけて全体重をペダルに掛けなければならない。
まあ、失敗すれば思いっきり踏み込んだろころでエンジンはうんともすんとも言わないのであるが、注意しなければならないのが「けっちん」である。
「けっちん」がどういうものなのかは体験済みなので今でも思い出すことができる。しかし、もうしばらくバイクからは離れているので、「なぜ」それが起きるのかが全く思い出せない。そこでネットで調べてみると、「エンジンの逆回転に起因」することのようである。
それで、どのようなことが起きるかと言うと、正常にエンジンが回転していれば、ペダルを踏み込んだ瞬間にエンジンがかかり、アクセルを吹かして「ブウーン!ブウーン!」となるところだが、「けっちん」を喰らうと、踏み込んだペダルが勢いよく戻ってくる。
当然、踏み込んだ足の裏に痛みが走り「痛て〜!」と言うことになってしまう。これが単気筒のセルスターターなしの怖いところでもあり、面白いところでもある。彼らがこの「ドカティ450デスモ」を所有していた時は私はまだ中学生だったが、たまにエンジンだけは掛けさせてくれた。
それから、もう1台がBMW750R。750cc水平対向2気筒のドイツ製のバイクである。ドカティ450デスモとは全くその様相を異にする。非常に落ち着いたバイクであった。ハンドルバーの短さやその独特なエンジン音は今でも記憶に残っている。
実は免許を取ってから何回か借りて乗ったことがある。今から思うと「よくあんな若造に貸してくれたな〜」と感心してしまうのだが、きっと内心は「無事に戻ってくるかな?」と不安だったに違いない。
このBMW750Rは、当時の同じくらいの排気量の国産車に比べると大きく2つの異なる点があった。まず一つ目は、
エンジンが「水平対向2気筒」であるということ。今もそうだと思うが、当時の国産車のほとんどは縦置きのエンジンであった。それに対して、BMW750Rはエンジンが水平に、しかも向かい合うように配置されていた。
それにはどのような特徴があるかと言うと、重心が低くなるので、特に高速走行などでは車体が非常に安定していた。しかし、エンジンが左右に張り出しているので、例えば渋滞時に、車と車の間をすり抜けるように走行するのは幅があったので制限された。それから、転倒すると確実にエンジンへのダメージは大きかった。よって、ほとんどの人は金属製のエンジンガードをつけていたのではないかと思う。
あと、今でもよく覚えているのが、信号待ちなどをしていると横置きのエンジンのため、気持ち車体が左右に揺れるのである。
それからもう一つが駆動である。駆動とは、エンジンが生みだしたエネルギーをタイヤに伝える方法のことで、当時の国産車の全て?が自転車と同じようなチェーンを用いていたのに対して、BMW750Rはシャフトドライブを用いていた。シャフトドライブとは金属の棒のようなものである。車はそのほとんどがシャフトドライブによる駆動となっていると思う。(あまり詳しくはないが…)
国産車が用いていたチェーンの一番のメリットは、おそらく軽量化を図ることにあったのではないかと思う。ただ、チェーンは伸びたりするのでそれなりにメンテナンスが必要となる。それに対してシャフトドライブは、重くはなるが基本的にはメンテナンスフリーである。
しかし、シャフトドライブの駆動には少しクセがあった。アクセルを開けるたびにバイクの後部が少し持ち上がるのである。それは発進時に顕著に現れた。もちろん、走行時でもアクセルを開けてスピードを出すと、気持ち後部が持ち上がった。
あるとき、「これがBMWの整備手帳だよ」と一冊のメモ帳大の冊子を見せてくれた。ページを繰ってみると「オイル交換」「タイヤ交換」などのいくつかの整備項目の日付が記入できるようになっている整備手帳であった。「10万キロまで記入できるようになっているんだよ!」と言われて「10万キロか、スゲ〜。さすがBMWだ!」と思わず声に出してしまったことを今でも覚えている。「BMW=質実剛健」というイメージが強かった。
その様な環境にあったので、もう「16歳になったら免許を取る」というのはごく自然の発想であった。そして、私の両親も薄々は感じていたのだろう、高校一年生の時「16歳になったら免許を取るから!」と言った時も、反対一つせず「気をつけてね!」と言われただけであった。
備考 |
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