オーストリアのウィーンから鉄道を利用しスイスのチューリッヒに移動したが、11時間近くかかったように記憶している。
さて、旅先で知り合った日本人から「スイスはいいよ!」とよく聞かされた。日本にいるときでも、テレビ番組やコマーシャル、または雑誌などでスイスの美しい景色を目にすることは多い。よって、スイスにはヨーロッパの他の国にはない少し特別な期待を抱いていた。しかし、問題は天気である。いかに美しい土地でも天気が悪ければ、その良さは半減してしまう。
幸いなことに初日のチューリッヒは、雲も少しは出ていたが晴れ間が多く、期待していた以上に美しいところであった。
次にチューリッヒからインターラーケンへ移動した。トゥーン湖とブリエンツ湖という2つの湖に挟まれた小さな町だが、ユングフラウ(4,158m)などへ登山への拠点となり、多くの観光客が世界中から訪れる。「え〜、登山はしんどい!」と言う人でも、ユングフラウ鉄道を利用すれば、標高3,454mというヨーロッパで一番高い場所にあるユングフラウヨッホ駅まで労することなく運んでくれるので、登山の雰囲気を楽しむことができる。
まずはインターラーケンからユングフラウ鉄道の始発駅であるクライネ・シャイデックまで移動しなければならない。東回り、西回りの2通りがあるが、私はグリンデルワルトで乗り換える東回りの方を選んだ。
クライネ・シャイデック駅から出ているこのユングフラウ鉄道だが、終点のユングフラウ・ヨッホ駅まで全長は約9.3qで、所要時間はおよそ50分ほどとなる。
出発からわずかの間は地上だが、そのほとんどはトンネル内を走行することとなる。アイガー(3,970m)、メンヒ(4,107)という2つの山中をくり抜きトンネルとしている。
しかし、このトンネルを掘るにはものすごいエネルギーを必要としたことだろう。「いつごろできたのだろう?」とちょっと調べてみると、ウィキペディアには「19世紀末から20世紀初頭」とある。ということは、今から100ほど前と言うことになる。現在であればかなり掘削技術は進歩してきているが、当時は「人力に頼るところも結構あり、相当大変だったのでは…」などと勝手な想像をしてしまう。
ただ、トンネルといえば、日本も平地が少ないので線路を敷設するにはかなりのトンネルを通してきたはずである。日本の場合、多くはまっすぐに、つまり高度を変えることなく掘ればよいわけだが、このユングフラウ鉄道のトンネルはかなりきつい傾斜を作っていかなければならないので、そう言う意味では難工事であったに違いない。
話は少しそれてしまったので修正しよう。このユングフラウ鉄道のトンネルには、その途中に2つの駅がある。わずかの間ではあるが、鉄道側の方で「ちょっと途中の景色も楽しんでください」と停車をするので、多くの人がその駅からの景色を楽しむことが可能である。もちろ「360°見渡せる」と言うものではないが、暗いトンネルの中を黙々と登り続けてきたものからすると、そこには別世界の景色が広がっている。
備考 |
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