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 さて、今回の旅の写真を収めたアルバムの最後のページには「9月24日 無事帰国!!」と記してある。最後は少し風邪気味になり、鼻水をたらしながら家路に着いたのを今でも覚えている。

 そして

 「最高の旅であった。いやなこともたくさんなったが、楽しいことの方がその数倍もあった。いろいろな人たちに会って、いろいろな国、人たちを知った。

 ソ連、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ベルギー、西ドイツ、オーストリア、スイス、そしてフランス

 アメリカ人の男性とオーストラリアの女の子と食事をし、3軒の店をはしごしたり。ドイツ人にビールをおごってもらったり。ミュンヘンでは飲み過ぎて二日酔い。ユースホステルでイギリスの小学生と卓球をやって親しくなって、カタカナ、ひらがなを教えてやったり。スウェーデンのオジサンが自分の名前を日本語で書いてくれと言うので、ひらがなとカタカナで書いてあげたら、たいそう喜んだ。などたくさん楽しいことがあった。もう一度ヨーロッパへ必ず行きたい!THE END」と締めくくっている。

 いや〜、現在もたいして変わらないのだが、小学生の日記のような稚拙な文章である。

 さて、「いやなこともたくさんあったが」とあるが、どんないやなことがあったのかトンと思いだせない。とりあえず何かをなくしたり盗られたりしたこともないはずである。「現地の人に脅されて怖い思いをした」という記憶もない。何だったのだろう…?

 「アメリカ人の男性とオーストラリアの女の子と食事をし、3軒の店をはしごした」とあり、食事をしたことは鮮明に覚えているが、「3軒も行ったかな?」と首をかしげたくなるが、まあ、ウソは書いてはいないだろう…。

 ドイツだと思うのだが、ユースホステルで2段ベッドの上を陣取っていると、背が高く髪の毛が長い西欧人が部屋に入ってきて、私の下のベッドを指さし「ここ空いているかい?」というので「大丈夫だよ!」と言ってあげると、荷物を下のベッドに置いたかと思うと、突然立ち上がり「オーストラリアの女の子2人と食事をする約束をしたんだ。一緒にどうだい?」と声をかけてきた。「あ〜、別に構わないけど…」と特に積極的に答えたわけでもないのだが、「じゃあ行こう!」近くのレストランへ行った。

 私は、英語が全く話せないわけではないが、私の英語は「流暢な」とはとても言えるものでもない。その英語で英語が母国語の人たちと会話をしなければならないので、かなりエネルギーは消耗する。

 アメリカ人の話す英語とオーストラリア人の話す英語では多少の発音の違いはあるが、これは普通に会話が通じるわけである。ただ、今でも鮮明に覚えているのだが、曜日などの発音で、例えば、アメリカでは日曜日は「サンデイ」だが、オーストラリアでは「サンダイ」となり、よくアメリカ人の男性が、女の子が「サンダイ」と言うと、すかさず「サンデイ!」言い直していたのを覚えている。

 それで、母国語が英語の人でも、1対1であれば「えっ、今、何て言ったの?」とか「もう少しゆっくり話してくれないか」などと言えるのだが、1対3ではとてもそういう雰囲気にはならなく、何を言っているか理解できなくもうなづいていたのを覚えている。日本人の悪いクセが出た次第である。

 「ユースホステルでイギリスの小学生と卓球をやって親しくなって、カタカナ、ひらがなを教えてやったり」とこれも良く覚えている。30代半ばくらいのお母さんが、小学校低学年の男の子と女の子を連れてユースホステルに滞在していた。何がきっかけだったかまでは思い出せないのだが、卓球をしたり、カタカナやひらがなを教えてあげた。

 現在の状況はよく分からないが、当時の私の感覚では、日本のユースは安く旅をする目的で主に若者が利用するケースが多いような気がした。それに対してヨーロッパのユースは、ビジネスマンが宿泊料を安く上げようと利用するケースも結構あるし、親子連れが宿泊している場合もあった。全てではないが、場所によってはファミリールームのようなものもあったと思う。

 子供たちのお母さんが「イギリスには来ないのかしら?!残念だわ。来るのであれば家に泊めてあげられるのに…」と言ってくれたが、残念ながらこの旅ではイギリスに行く余裕はなかった。

 また、「スウェーデンのオジサンが自分の名前を日本語で書いてくれと言うので、ひらがなとカタカナで書いてあげたら、たいそう喜んだ」とあるが、スウェーデンに限らず、その人の名前を漢字やひらがなで書いてあげて喜んでもらったケースは何回かある。

 現在でも、たまに外国人が変な日本語のプリントのあるT-シャツを着たり、刺青を入れていたりするのを見かけたりするが、やはりアルファベットだけを使う人たちからすると、日本語の漢字やひらがな、またはカタカナはちょっと神秘的?な感じがするのであろう。

 この喜ばれた漢字ではないが、旅に出発する前には「現地で知り合った人に渡す何かお土産を用意しないと」ということになり、いくつか用意していった。

 少しかさばるものとしては、扇子とミニチュアの和傘をいくつか購入した。それから、「ヨーロッパでは穴の開いているコインは珍しいらしい」ということで5円玉を用意した。あとは折り紙である。もちろん折り紙をそのまま渡すわけではない。折ってプレゼントするわけだが、何と言っても「鶴」が人気がある。

 もう、鶴の折り方さえ覚えておけば他はいらないというくらいで、向こうの人から見ても、一目で何を折ったのか分かるのが「鶴」となる。(まあ、それが「鶴」かどうかまではみんながみんが理解できているかどうかは疑問だが、「鳥」であるということはみんな分かる)

 宿泊したユースホステルのフロントで、チェックアウトの時に一枚の折り紙を取りだして鶴を折って上げるととても喜ばれた。一番安上がりで感動を与えるお土産かもしれない。

 最後に「もう一度ヨーロッパへ必ず行きたい!THE END」と締めくっているが、行けたのであろうか?

 下はアルバムの最後のページに貼ってある写真(ベルサイユ宮殿にて)

(完)

 

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