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トッピクス - 旅に出よう - 海外(その3)

 

 

 

・ゴールデントライアングル・トレッキングツアー(その2)

 

 

■ ゴールデントライアングル・トレッキングツアー(その2)■

 さて、2日目であるが、昨夜の睡眠は「熟睡」とはほど遠いものだったので、眠い目をこすりながらの起床となった。もちろん、朝食も取ったのだろうが、何を食べたかは全く思い出すことができない。1日目同様、ガイドのリーダーの「出発しましょう!」の言葉に、私たちはデイパックを背負い、再び靴ひもを締め直して彼の後に続いた。

 地形的には、前日と変わらないようなところを歩いた。この日も天気が良く、夜は冷えるが、昼間はさすがに歩いていると汗をかく。まあ、強行軍ではなく休憩もよく取ったので、ツアーのメンバーから「ちょっと辛いのでここで休ませて!」と言いだす人もいなかった。

 昼を過ぎたあたりだろうか、前日同様、丘を超えるように歩いていたが、前方を覆う木々も少なくなり目の前が少しずつ開けていった。そして、ある丘の頂上に来た時に360°見渡せるようなところに出た。よくよく周りを見回すと、そこはケシが栽培される畑になっていた。ただ、残念なことに、花は結実を終え、その実はほとんど収穫された後であった。従って、畑には実が収穫された後のケシの葉と、「何で今頃咲いてきたの?」と聞きたくなるほど、遅咲きの花がポツンポツンとある程度であった。

 花が咲き乱れていれば、歩みを止め、記念に写真でも撮ったのであろうが、ほとんど休むこともなく歩き続けた。そして、しばらく歩いていると、一番先頭を行くガイドが「今日はあの村が目的地です」と指さした。そちらの方に視線を向けると、そこには丘の斜面が一部切り開かれ赤茶色の地面がむき出しになり、家が何軒か確認することができた。

 私には、「もうすぐだな」というよりは、まだ、2、3時間は歩きそうな距離であるように思えた。ただ、おそらく左右に見えるケシ畑はその村が所有するものであったのだろう、畑からその村に通じる道は、明らかに何回も人が行き来しているような道で、今まで歩いて来た道よりは格段に歩きやすかった。

 それから2時間も歩いたであろうか、子供たちの声が聞こえてきたかなと思っていると、急に目の前が開け、目的地の村に到着した。すると、今まで飛びまわって遊んでいた子供たちは、私たちの到着に気が付くと、みんな私たちの方に駆け寄ってきた。一番先頭を歩いていたガイドが、自分が背負っていたデイパックからお菓子や風船などを取り出して子供たちに渡すと、子どもたちは再び「キャーキャー」と声を上げながら、もらった風船などを膨らまして遊び始めた。もうここまで来ると、私たちの宿泊予定の小屋は目と鼻の先であった。

 それは、もちろん村に建てられている小屋の一つであったが、昨夜宿泊した森の中の小屋とそれほど違うようなものではなかった。村だからと言って電気やガスが通じているわけではなく、食事はマキを燃やして調理をし、街灯などと言うものも一切なく、各家屋から漏れてくる灯りもなかった。たまに灯りが見えても、それはときどき村人が手に持っている懐中電灯の明かりであった。

 夜、食事を終えて小屋で休憩していると、ガイドが「よかったらアヘンが手に入るぞ」とツアーのメンバーに声をかけてきた。私は、最初からその様なものには興味がなかったので、「ちょっと経験してみようかな」とは全くおもわなかった。そして、ツアーのメンバーも誰一人として興味を示したものはいなかったように記憶している。

 ネットで調べてみると、現在では政府の抑制対策が功を奏し、このゴールデントライアングルでのケシの栽培は当時に比べるとかなり減少しているようである。そして、現在での阿片を採取するためのケシの栽培の中心は、アフガニスタンに移っているとのことだ。

 さて、2日目の夜だが、当然のことながら村の家屋の一つを借りて宿泊したからと言って、温かい毛布などにくるまりながら眠ることができるわけがなかった。前日の小屋での宿泊とほとんど変わりはなく、寒さに耐えながらの睡眠となった次第である。

 

 

備考