四方山話

 韓国フィットネス紀行/四方山話




最後に

 2月21日帰国の日、私のフライトはインチョン空港午前11時発のノースウエスト航空である。朝の交通渋滞などを考慮して、7時ちょっと前にはお世話になったイムスハウスを出発した。
前日に「明日からソウルも雨の季節になる。滞在中、天気に恵まれてラッキーだな!」と言われた通り、滞在中はずっと天気に恵まれていたが出発するときには小雨が降っていた。
傘をさすほどではなかったので、バックパックを背負い右手にデイパックを持って、徒歩で3分ほどのところにある空港行きのリムジンバスの停留所まで歩くと、5分もしないうちにバスがやってきた。
市内から郊外に出るので、心配だった交通渋滞もなく1時間弱で空港に到着した。ということはチェックインの時間まで1時間近く待たなければならない。何をするでもなくイスに腰をかけボーッとターミナル内の人たちを眺めていた。
 私のすぐ前には、韓国人のグループ旅行の人たちがいる。40歳代から50歳代前半と思われる男女7、8人の人たちで、添乗員なのか旅行のまとめ役の人なのかは分からないが、その男性から航空券を受け取り注意事項を聞いている。なんか、みんな楽しそうである。日本にでも行くのであろうか?2、3泊の旅行であればグループ旅行も楽しいであろう。
また50歳代前半くらいの女性が片手には航空券、またもう一方の手で大きな荷物を載せたカートを引いて一人でウロウロとチェックインするカウンターを探しているようである。
「なんかあの人タイ人っぽいな。出稼ぎにでも来てこれから帰国するのかな?」などと全く根拠もない想像を働かせていると(ナムサンゲストハウスではタイ人の女性が働いていたが…。)9時近くなったので、早めに荷物を預けて身軽になってしまおうとノースウエスト航空のカウンター向かった。
しかし、これが長蛇の列ができているのである。「マジかよ!」などとブツブツ言いながら最後尾についたが、チェックインするまでに45分近くもかかってしまった。「ヤレヤレ」である。
ただ、その後は順調で、私の飛行機は予定通りインチョン空港を離陸し、特に問題もなく11過ぎには成田空港に到着した。
しかし、そこからの電車の接続等が悪く、東京の郊外に住んでいるということもあって、自宅に着いたのは4時半近くである。フライト時間が約2時間だというのに、結局は1日がかりの移動となってしまった。
今回、初めての訪韓だったわけだが、深く韓国の人たちの生活を見てきたわけではないので、出発前にちょっと心配していた「反日感情」というものは杞憂に終わった。
まあ、昨今の韓流もあって日本からの旅行者も多いだろうし、現地ではたくさんお金も落としていることだろうから、そういう人たちに対して「反日感情」をあらわにしていたのでは、ビジネスとして成り立たなくなるので、その辺はしっかりとコントロールしているのであろう。
17日間という短期の滞在であったが、ソウルの街中を歩く限りでは国民の生活レベルは日本とほとんど差がないように思われた。細かいところまでは分からないが、街中を歩いて見える住居、人々が来ている服、道を行き交う自動車や公共の交通を見ている限りでは、日本のそれと全く同じレベルである。
「フィットネスクラブで年配の人をあまり見かけない」と書いたが、帰国後、ネットで調べてみると、まず韓国と日本では人口がかなり異なる。
2006年度の韓国の人口約4,884万人に対して、日本の場合は1億2,776万人で約2.6倍。そして人口に占める65歳以上の割合が、韓国の9.1%(2005年度)に対して日本では21%となっている。
つまり、韓国の65歳以上の人口は約444万人、日本の場合は約2,683万人で韓国の約6倍になる。日本ほど高齢化が進んでいないので、フィットネスクラブでの年配の人の姿が少ないのも当然といえば当然かもしれない。
しかし、「出生率」は、日本の1.3に対して韓国が1.2なので、これからは日本以上に急速に高齢化が進んでいくと言えるかもしれない。
先日、テレビのニュース番組で、「定年後も何らかの形で仕事に就きたいか?」というアンケート調査を行った結果、4分の3以上の人が「就きたい」と解答したという内容のニュースを流していた。
番組の途中から見たので、どのような人を対象にしたアンケート調査だったのかは分からなかったが、一昔前のように、「定年後は年金で好きなことをしてゆっくりと過ごしたい」という考え方は完全に崩壊している。
もちろん、「定年後も働きたい」と答えた人の多くが「年金だけでは生活していけないので…」と経済的な理由をメインにしていると思われるが、中には「身体の自由が利く限りは働きたい」などと経済的な理由以外の人もいるはずである。
いずれにしても健康でないと成立しない話である。そして、ある程度の年齢以上になると「健康である」というのは、本人の努力が伴わないと非常に難しい。定年を迎える60歳というのはまさにそうである。その努力とは運動であったり食事であったりするわけだ。
まず、「超高齢化社会」を迎えた日本が韓国のお手本となろうではないか。「死ぬまで付き合っていかなければならないもの」は自分の身体である。それこそ放っておけば、20代から老化現象なんて始まってくる。
「もう歳だから…」などと自分に言い訳をするのではなく、「歳だから」こそ鍛えていかなければならないのである。「さあ、死ぬまで鍛えるぞ!いやいや、トレーニングをしながらポックリいってやる!」と訪韓後にますますヒートアップする私がいるのである。


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