「予想外」である。
4階までエレベーターで上がり例の扉の向こうに通された。1つのフロアがいくつかの部屋に区切られた形になっている。そして、フロアの中央は従業員用のオフィススペースになっているが、ドアはなく、中にはデスクと電話があるくらいでいたってシンプルで、まさに「スペース」と言った空間である。
案内してくれた女性が「この部屋を使ってください。」とそのオフィススペースの前にある部屋のドアを開けてくれた。
中に入ってびっくりしてしまった。「予想外」である。いくら物価が日本よりも安いといっても、1泊3,200円くらいのシングルの部屋なのだから、壁にはシミ、カーペットの端の方はところどころめくれ、20インチほどのブラウン管のテレビ付の部屋を想像していたのだが、これが「広くて、きれい」なのである。
まず、第一に目に飛び込んできたのが、壁にはめ込まれた40インチはあろうかという液晶テレビ。そして、きれいにベットメイクされたダブルベット。洗面所などもなかなかしゃれている。
「うわ、まだ新しいのですね!?」と彼女に言うと「もう1年にはなります。」とのこと。
しかし、これは「大当たり!」である。苦労してたどり着いた甲斐があったというもの。彼女の説明によると、部屋は予約を入れた一番小さなシングルよりも広いダブルの部屋だが、同じ料金でよいとのこと。
滞在日数を聞かれたので、とりあえず予約どおり3日間は滞在したい旨を伝えた。あとは利用するフィットネスクラブが遠いようであれば宿を変更せざるを得ないし、ここから通える距離であれば滞在を延長したい旨を伝えると「OK」という返事をもらった。
「とりあえず2日分だけ宿泊料を支払ってほしい。」と言われたので、その場で1,900元を支払い、メモ用紙に書いた簡単な手書きの領収書を受け取る。そして、2種類の鍵と例のレンタルルームへの扉の施錠を解くカードをもらった。
2種類の鍵のうち一つは自分の部屋の鍵で、もう一つは1階のシャッターに設置されたドアのものである。夜9時以降はシャッターが下りてしまうとのことである。
また、有料になるが洗濯機と乾燥機の使い方の説明もしてくれた。この2つがあるのはとても助かる。毎晩、汗を流すことになるので洗濯物は必ず出る。
最後に「何かあったらここに電話をください。」と名詞を渡された。オフィススペースはあるが、基本的にはスタッフは何もない限りは駐在していないとのことである。ここでようやくレンタルルームと安宿の区別ができるようになったのである。
結局、利用するフィットネスクラブも乗り換えはしなくてはならないが、地下鉄で最寄りの雙連駅から30分ほどの距離だったので、帰国までずっとお世話になることになった。
周りにはコンビニをはじめ飲食店なども多く、歩いて10分ほどはあったが夜店もあり、生活をするには不便さを感じさせない場所であった。
レンタルルームの内部。廊下の左右にそれぞれ部屋がある。滞在中は他の宿泊客と顔を合わせてあいさつするようなことは全くなかった。「干渉されたくない」という人には向いているし、ゲストハウスのように「いろいろ情報交換をしたい」という人にとっては不向きである。
壁にはところどころ写真なども貼られていて全体的にしゃれた雰囲気はある。
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私が借りた部屋のダブルベット。もちろん広さ的には十分だし、清潔であった。枕は2つ。1つは頭の下に敷き、もう一つは抱きかかえるためのものである。
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部屋の壁に埋め込まれた液晶テレビ。ケーブルテレビのためチャンネル数は多い。日本語専用チャンネルも4つくらいあるようだ。何といっても助かるのは映画専用チャンネルで、これも5チャンネルくらいある。後は「ナショナル・ディスカバリー」や「プラネット・アース」などがお気に入りである。
部屋の中には液晶テレビの横に見える窓が1つあるだけだが、「暗い」という感じはない。
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広くはないが、とりあえず必要最低限の広さは確保された洗面所。バスタブはなくシャワーのみ。フィットネスクラブで毎日のようにプールの横のジャグジーに入っていたのでお風呂に入りたいとは思わなかった。また、洗面器はシャレた陶器製のものを使っていて、女性であれば「まあ、ステキ!」とでもなるのであろうが、あまり使いやすいとはいえない。あとは小物を置くための棚があれば文句なし。
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「これはサービスです。」と用意されていたブドウ。どうやらウエルカムフルーツのようだ。もう一つの方はドライフラワーでいい匂いを放っている。なんとも女性的である。「オレ、果物よりもビールの方が…。」などと決してわがままを言ってはいけないのである。
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