四方山話

      

台湾フィットネス紀行/四方山話




No more カリフォルニア・フィットネス

 タイ、マレーシア、韓国同様、台湾でのフィットネスクラブもインターネットで情報を得ていた。台北にも例の「カリフォルニア・フィットネス」をはじめ、日本でもおなじみの「ゴールドジム」、また地元のフィットネスクラブもいくつかあるようである。
その中で私の目を引いたのが、地元の「アレキサンダー・ヘルスクラブ」であった。「台北を中心に展開する台湾国内最大手企業アレキサンダー社の多目的型クラブ」とのことで、台北の市内だけでも数店舗はあるようだ。
さすがに、今回は「No moreカリフォルニア・フィットネス」である。台北にあるカリフォルニア・フィットネスのホームページの写真を見ても、ワールドワイドで展開しているクラブなので当然といえば当然なのだが、タイ、マレーシア、韓国のそれと雰囲気は全く一緒である。
設備的には申し分ないのだが、今回はどうしても地元のフィットネスクラブを利用したかった。ある程度の規模があり、スタジオエクササイズが充実しているところとなると、台湾最王手のアレキサンダー・ヘルスクラブ以外には候補が見当たらなかったのである。 ただ、ちょっと気になったのは、フィットネスとは全く関係ない台北のタウン情報を扱っているあるホームページに「正規の会員しか利用ができない」というようなことが書いてある。つまり、「正規の会員」のみということは短期の利用ができないということで、私はだめということになる。
それは困る!非常に困る!「今回は絶対に地元のクラブだ!」と意気込んでいる私にとってゆゆしき情報である。「まあ、最悪カリフォルニア・フィットネスがあるか…。」と「根性無男」になりそうになる自分に「いかん。いかん。そんなことではいかん。最後の手段として土下座をしてでも利用させてもらうのだ!」と喝を入れ、いろいろと作戦を練り、入念なシミュレーションを立てるのである。
まずフロントまで行ってこう言う。
「短期の入会をしたいのだけど…。」
するとそこにいた20代半ばくらいの色白で、身長が1m60cm弱くらい、黒くてツヤツヤサラサラヘヤーの女性がこう言ってくる。
「申し訳ありませんが、当クラブは短期の入会は受け付けておりません。」
そうしたら次のように切り出す。
「ええええ〜、うそー!なんてことだ!せっかく日本からここに通うことだけを楽しみに来たのだから、何とかならないですか?お願いします。」
彼女はちょっと困ったような表情で
「大変申し訳ありませんが、そういう規則になっていまして…。」
もちろん今回はこのようなことで引き下がる私ではなく
「いやー、参ったな!ちょっとマネージャーと話をしたいのだけれど…。」
すると
「今、呼んできますからソファーにかけてお待ちください。」
と、私はソファーに腰を下ろすのである。しばらくすると、30代後半くらい の男性のマネージャーが現れ、大まかな内容は受付のツヤツヤサラサラヘヤーの彼女から聞いて知ってはいるはずであるが、私にこう切り出す。
「マネージャーの○○です。どのような御用でしょうか?」
私は
「どうも、私は○○です。日本から来ました。実は今回の訪問の目的は台湾の人たちがどのようにしてフィットネスライフをエンジョイしているのか見に来ました。13日間の滞在予定なので、その間ここでみんなと一緒に汗を流したいと思っています。」
私の目の前にいるマネージャーは
「そうですか、わざわざ日本からこられたのですか。ただ当クラブでは短期の入会はお断りしておりまして…。」
そんなことでくじけてはいけない私は
「それは受付の女性から聞いています。実は現在、フィットネスに関するホームページを作成しているのです。その中で他の国の人たちがどのようにフィットネスクラブを利用しているのか見聞するページがあり「台湾編」を作成するのが今回の訪問の目的なのです。」
マネージャーは少し困った様子で
「なるほど。ただ…。」
ここで「ただ…。」の先を言わせたらいけないととっさに考えた私は
「実は、今年はタイ、マレーシア、韓国に行って現地のクラブで汗を流しているのです。向こうではカリフォルニア・フィットネスを利用しました。もちろん、ここ台北にもカリフォルニア・フィットネスはあるのは分かっていますが、今回は何とか別のクラブに通いたいと思っていました。インターネットで調べると、このアレキサンダーヘルスクラブが一番大きく、施設も充実しているとあり、ぜひ、ここで台北の人たちがどのようにクラブを利用しているのか見させてください!お願いします。」
マネージャーはさらに困った顔をして
「そうなんですか。できればご協力させていただきたいのですが…。」
クソっ!ここまで言ってもだめか!こうなったら最後の手段だ!とフロアに両膝と両手をつくのである。
とバカなことを地下鉄の電車の中で思い巡らしながら、目的である市政府駅のホームに降り立った。この駅は宿の最寄り駅である雙連駅からは1回乗り換えなければならないが8つ目の駅で、各駅間の乗車時間も1分ほどなので「遠い」という感覚はない。
この市政府駅の周辺は新たに開発されつつある地域で、すでに市庁舎関係の建物や三越やタイペイ101などの近代的なショッピングビルやオフィスビルなども建設されているが、「これから」という更地なども目立つ。
フィットネスクラブが入っている建物はインターネットで調べて「Neo 19」というビルだということは分かっていた。そして、区画整理された地域だったので、探すのにもさほど苦労はすることはなかった。駅から徒歩で10分ほどである。
さて、目的のアレキサンダーヘルスクラブはビルの4階、5階にある。エレベーターで4階まで上がると受付が目に入ってきた。
残念なことにそこにいた女性は「20代半ばくらいの色白で、身長が1m60cm弱くらい、黒くてツヤツヤサラサラヘヤーの女性」ではなく、ちょっとふくよかな「おばちゃん」、失礼、女性であった。
彼女は私に気がつくと「ニーハオ」と中国語で話しかけてきたので、英語で「英語は話せますか?」とたずねると「ちょっと待ってください!」と奥のオフィスに消えていった。
しばらくすると男性を連れてきたが、その男性、私の顔を見ると困ったような表情で女性となにやら会話を交わしたかと思うと、もと来たところに戻っていってしまった。
すると女性だけが私のところに来て、申し訳なさそうに「もうちょっと待ってください!」とのこと。「何だ?何だ?」と「?」マークが頭の中に増殖しかけたが、これからの展開を考えると「いい子」でいなくてはならないのである。
5、6分も待たされたであろうか、今度は背の高さは150cmをちょっと超えるかなというくらいの23歳前後の女性が現れ
「英語はあまり得意ではありませんが…」というので、短期の入会をしたい旨を告げると、「まず館内を案内します。」とのこと。ここで断られなかったということは「これは見込みありということか!」と期待を膨らませながら彼女の後をついていった。
「私の名前はリンです。」という彼女に、「リン」ってあの「林」かなとも思ったりもしてみたが、特に個人的なことは聞かずに、「ここがスタジオです。」「これが筋トレ用のマシーンです。」という彼女の説明に「うん。うん。」とうなずくだけで、一通り案内してもらうのに10分もかからず受付に戻ってきた。
そこには別の女性が待っていて、リンは「後はこの女性と話をしてください。」という彼女に軽く礼を言うと、奥のオフィスに消えていった。
私は受付の横にあるテーブルに案内された。彼女は自分の名前を告げ「今日は?」と言うので、11日間(最初と最後の日は利用できないため)の短期の入会をしたい旨を告げると、10枚綴りの利用券の購入を勧められた。金額は3,500元で日本円にして約12,250、1回1,200円ちょっととなる。そして、今日1日だけは無料で利用しても良いとのこと。
「いや、あの緻密なシミュレーションは一体なんだったのだろう?」とも思ったが、それより短期の利用ができて何よりである。
もちろん、ためらうことなくその場で利用券を購入した。かくして私の台北での短期のフィットネスライフが始まったのである。



市政府駅からアレキサンダー・ヘルスクラブに向かう途中の風景。振興開発地だけに建築中のビルや空き地となっている空間もけっこうある。

 

 



市政府駅のすぐ横にある「新光三越」。毎日、この横を通ってアレキサンダー・ヘルスクラブに向かっていた。しかし、ここの「新光三越」のショッピングエリアは巨大で、4棟のビルが1つのエリアを形成している。そして、それぞれのビルに専門店やレストランなどが入っている。場合によっては、写真のように遊歩道で結ばれているので、雨の日には傘をささなくても済むので助かる。



アレキサンダー・ヘルスクラブの入っている「Neo 19」。周りには「新光三越」
やワーナービレッジがあり、シャレたレストランやカフェも多いので、遊ぶには事欠かない。



西門町(シーメンディン)にあるカリフォルニア・フィットネスの1階部分。
西門町は若者に人気のある街で、カジュアルな衣服や雑貨を扱ったお店、そしてゲームセンターなども目立ち、平日に訪れても賑やかである。



アレキサンダー・ヘルスクラブで購入した利用券(右)。10枚つづりで利用するごとに1枚ずつ切り取ってフロントで渡すことになる。左のA4の用紙は、細かい説明を受けたかどうかは記憶にないのだが、施設を利用する上での「規約書」のようなものだと思われる。これも利用券を購入時に10枚ほど同じものを渡され、利用ごとにサインをし利用券と一緒にフロントに提出した。


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