コンビニ
ソウルでも日本と同様コンビにはよく目にする。セブンイレブン、ファミリーマート、エイエム・ピーエムなど日本でおなじみのものも多い。
毎日のように利用したが、売っているものも日本と変わりなく、菓子類、カップめん類、パン、おにぎり、弁当といった食べ物、焼酎、ビールなどのアルコール類、ジュースや牛乳、ヨーグルトなどの飲み物、文房具、洗剤などの日用雑貨から雑誌まで普段の生活で必要なものは一通り揃っているという感じである。
また、多くのコンビニで、店内で買った飲食物が食べられるようにちょっとしたカウンターが設けてあって、その横には電子レンジやカップめん用に給湯器があり、自由に使うことができる。よくフィットネスクラブに行く前におにぎりや菓子パンを買ってエネルギーを補給した。
「ちょっと日本と違うな」と思ったところが、全てのコンビにではないが、店の前にプラスチックのテーブルやイスが置いてあるところが多い。
これは店内で買った飲食物をそこで食べるためのものである。昼間などは、ジュースやアイスクリームなどを食べている人が目に付くが、夕方くらいからは店先で「酒盛り」が始まるのである。
また、コンビニに限らず、ちょっとした飲食店の前の歩道にも夜になるとテーブルやイスが並べられ、にぎやかに飲み食いしている。この時期は店内よりも外でビールなどを「グイッ」とやるほうが、気持ちがいい。
ここソウルは、タイのバンコクほど露店の数は多くないが、それでも街中を歩いているとけっこう目に付く。
例えば、アプクジョン駅からフィットネスクラブまでの歩道では、いつもだいたい同じ場所に同じ店が出ていた。
歩道に広げたゴザの上にTシャツ、帽子、靴などを並べたもの。また、テーブルの上にアクセサリー、音楽CD,中古のDVD、かばんなどを並べたもの。屋台式のものは火を使って調理が可能で、韓国式お好み焼き(チヂミ)や韓国式おでん、トッポッキ(お餅を煮込んだもの)などを売っている。
このような道路の使用に許可を得ているのかどうかは定かではないが、大掛かりな屋台はともかくとして、ゴザを敷いた露天が許可を得ているようには到底思えない。歩道の使用に関しては日本ほど規制が厳しくないのであろう。
さて、話をコンビニに戻すが、フィットネスクラブで有酸素や筋トレ系のレッスンを気合を入れて2本も受けると、もうクタクタになる。着ているタンクトップは汗でビショビショ状態。汗拭き用のフェイスタオルも湿って重くなっている。レッスン後は、とてもマシンを使って筋トレをする体力は残っていないので、シャワーを浴びジャグジーに浸かって帰るのだが、帰りのアプクジョン駅までの15分が長いこと長いこと。
「疲れたー。」「クタクタだ。」「のどが渇いたー。」などとぶつぶつ言いながらだらだらと歩いているのだが、「エネルギーを補給しないと、もしかしたら駅までたどり着けないかもしれない。」という不安が心をよぎることがある。
そのような場合は、いつもちょうど中間くらいにあるコンビニに立ち寄り、命の源の「発酵麦芽汁」を補給するのである。そのコンビニの前にもテーブルとイスが置いてあるので、これが非常に助かる。まあ、私の場合、イスなどなくても平気で道端に腰を下ろし「グビグビ」やるが…。
いつもそのコンビニに入る前には「ちょっと喉を潤すだけにしておこう。500mlの缶ビールで十分だ!(330mlの缶ビールなど選択肢に入らず)」などと思うのであるが、いざ飲み物が入っている冷蔵庫の扉を開け、ビールが並べられた棚に目にやると「缶ビール、500ml、2,300ウォン(約307円)」「ビンビール、660ml、1,900ウォン(約253円)」というラベルが目に入ってくる。
これ、どう考えても比較のしようがない。缶ビールに手がいくわけがないのだ。缶ビールを選ぶなど本能が許さない。いつも「ビンビールを買ったからといって無理して飲む必要は全くないのだから、ちょっと喉を潤して後は残せばいい。」などと思うのだが、そんなことするわけがない。
ビールの棚から大ビンを1本取り出し、場合によってはプラスしてピーナッツなどのおつまみを一つとってレジに向かうのだが、レジのおじさんにも「速攻で飲みたい!」というのがバレバレで、決して袋などに入れようとしない。
私はレジを済ませると、店の外にあるいすに腰を下ろして、デイパックの中にいつも携帯しているスイスアーミーナイフを取り出しビールの栓を「シュポッ」と開け、そのまま口まで運ぶのである。
ゴクゴクゴクとビールが喉の奥へ流れていく音を聞きながらビンを傾け、身体の渇きが癒されていくのを感じるときがなんとも言えない。「こんなにおいしい飲み物は他にはない!」というくらい汗をかいた後のビールは最高である。
このコンビニは大通りに面していて、道行く車や、歩道を歩く人も多い。そして、道を隔てて韓国を代表する企業の「ヒュンダイ(現代)」のアパート群が目に入ってくる。
しばらく、道行く車や人をビールビン片手に眺めているのだが、15分もするとなくなりかけていたエネルギーのレベルが7、8割がた回復する。
ビンの底に残ったビールを飲み干し「ヨッシャ、帰るぞ!」と足取りも軽く駅まで向かうのである
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