「ニホンノ オンナハ キレイデスカ?」
いつものようにフィットネスクラブからアプクジョン駅の途中にあるコンビニの前で休んでいると、テーブルを隔てて反対側のイスに男性が腰を下ろし、缶ビールの栓を抜いている。特に気に留めることもなく、道行く人を眺めていたのだが、彼が韓国語で話しかけてきたのでそちらを向くと、50代半ばくらいの男性であった。私は彼に「韓国語は話せない。」と答えると
「どこから来たのですか?」
「日本からです。」
「日本人ですか?」
「そうですよ。」
「旅行ですか?」
「そうです。」
「今まで日本人が一人で旅行をしているのを見るのは初めてですよ。」
とのこと。もちろん一人で旅行をしている日本人だって事実いるが、韓国あたりは近いということもあり、数人でワイワイガヤガヤと旅行している人のほうが多いのであろう。
「一人のほうが気楽でいいですよ。」
「そうですね。今回はどれくらいの滞在予定なのですか?」
「17日間です。」
「ソウルだけですか?」
「ええ、ソウルだけです。明日には日本に帰ることになっています。」
「そうですか。私は通りの向こうに見えるヒュンダイ(現代)のアパートに住んでいます。これから妻と散歩に行く途中なのですが、妻が忘れ物をしたと自宅に戻ったので、待っているのですよ。」
「ああ、あのヒュンダイのアパートに住んでいるのですか?あれって、自動車のヒュンダイと関係があるのですか?」
「ええ、同じ企業です。大きな企業ですからいろいろな部門があります。でも、しょっちゅう労使間で問題を起こしていますけどね・・・。」
「そうですか?」
「実は、半年前から日本語の勉強をしています。」
「日本語を?またなぜですか?」
「会社をリタイヤしたら日本の温泉に行って、のんびりしたいのです。日本の温泉街だとあまり英語も通じないでしょ?!」
「そうですね。地方になると通じにくいかもしれませんね。特に温泉街は年配の人が多いので、年配の方は特に・・・。」
「でしょ、そう思って、日本語を勉強しているのです。」
「そうですか。でも、韓国にも温泉はあるんじゃないですか?」
「ええ、あることはありますが、長期の滞在向きではないのです。日本ではゆっくりと滞在できる施設があると聞いています。」
「ええ、ありますよ。自分の悪いところを治そうと、何ヶ月も滞在する人もいるみたいです。」
「そう聞いています。ところで、ニノンノ オンナハ ドウデスカ?」
と勉強している日本語を使って聞いてきた。
「日本の女性ですか?そうですね、どこも一緒ですよ。日本だからと言って特にきれいな人が多いわけではありません。いいなと思う人もいれば、そうでない人もいる。韓国だって一緒ですよ。世界中どこに行っても同じです。」
「そうですね。」
私はビールを飲み干し、「お話できて楽しかったです。」とその男性とは握手を交わして帰路についた。
「きれいかきれいじゃないか」というのはかなり主観が入るのでなんとも言えないが、女性に限らず、実は韓国の若い男女のほうがまともなような気がしている。今回は17日間だけの滞在で、特に若い子を観察していたわけではないので、正しいことを言っているのかどうかは自信がないが、オジサン的私見でいうと「彼らのほうがまともである。」
日本の若い男の子に見られる「何だ、そのズボンのはき方は!今にもずれおちそうではないか?どうせなら脱いでしまえ!」と思われるような子や、「なんじゃい、その眉毛は?!全部剃っちまえ!」という子も見かけなかった。
また、女の子では「その髪の毛の色は一体なんなの?!パサパサでカビでも生えているじゃないのか?!」というような子は皆無だし、一時期よりは大分減ったみたいだが「その肌の色は一体なに?!何人なんだ!?」というような子もいない。
しかし、非常に悲しいことだが、最近の日本の女性は若い子だけでなく髪の毛を染めるのが流行みたいだが、決して髪の毛にとってはよいことではあるまい。ダメージを与える以外の何物でもないはずである。
「髪は女の命」という言葉は死語になってしまったのであろうか?非常に残念である。「やっぱりつやつやした髪の毛が最高なんだけどな…。」と思う、オジサンの中のオジサンとなってしまった私なのである。
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