四方山話
     

       

タイ・マレーシア フィットネス紀行/四方山話




APOCALYPT

 多分去年のことだったと思う。たまたまテレビをつけたら「SHOWBIZ」をやっていて、メルギブソンの監督作品である映画の撮影シーンと、監督のノインタビューを流していた。
  その撮影シーンというのが「ジャングルの中で原住民の男性がジャガーに追われる」というものだったが、ジャガーには安全のために首輪とワイヤーが付けられ、そのワイヤーもまた別のワイヤーに付けられていたので、動ける範囲が決まっていた。(安全上、当然といえば当然だが…。)
  「こういうふうにして撮影しているのか。」と、そのことが何となく印象に残っていたが、映画の題名とか公開予定日などはほとんど気にならなかった。
  多分、メルギブソンの監督作品はその作品で2作目だと思う。1作目は「パッション」という題名で、イエス・キリストのことを取り上げていて、一応見ているはずだが内容がほとんど残っていない。
  さて、今回、バンコクの路上の屋台でDVDを物色していたときのことである。ジャングルの中を走っている原住民の写真が写っている表紙のDVDがあったので、手に取ってみると「MEL GIBSON'S APOCALYPTO」という表題になっている。「ああこれか…。」とテレビの撮影シーンを思い出した。「もうDVDが出ているんだ?」とちょっと以外だったが、1枚買うことにした。(100バーツ、約340円)
  宿に戻り、ノート型パソコンにDVDをセットすると、まもなく音楽とともに映像が液晶画面に現れてきた。きれいな映像である。
  映画の内容はいたって単純である。が、単純であるがゆえに私でも理解ができた。実はこの映画(帰国後、調べたのだが)台詞はすべてマヤ語で、英語の字幕スーパーが流れてくる。
  英語の字幕スーパーの文章がそんなに難しくなかったので、私でも何とかついていけた。難しかったら、付いて行けなかっただろう。だが、全く英語が分からなくても、内容が非常に単純なだけに、普通に楽しめる映画でもある。
  これも、帰国後調べたのだが、アメリカでの公開が12月の上旬らしい。(約2ヶ月前)全体的には高い評価を受けている反面、「残酷な場面が多過ぎる」との批判もあるようだ。 
  たしかに、マヤ時代の部族間同士の争いなので、殺戮の場面は多い。ポンポンと人の首を切り、それを階段の上からコロコロと転がすのである。
  ただ、同じ血を出すにしても、いわゆる現代のバイオレンスものとはどこか異なるような気がする。私は映画の専門家ではないので、詳しいことは分からないが、この手の映画はなかなか他の監督では作れないのではないだろうか。結構、「冒険」なような気がする。
  映画自体は十分に楽しむことができた。しかし、アメリカで12月に公開して、通常、どう考えても2月前にDVDになっているわけがない。だが、それが実際に売られていて、画質もDVD画質である。(ただ、映画の半分あたりから映像と音声が2秒くらいずれている。)どうも、理解に苦しむ。
  もしかしたら、他の国でもっと早く公開して、DVD化されたものをコピーして売っているのだろうか。アメリカの映画で、本国よりも他の国で先に公開することがあるのだろうか。その辺の詳しい事情はよくわからないが、どうも不思議である。
  はやり、露天のDVDを見ていたアメリカ人がクリントイーストウッド監督作品の「 Flags Of Our Fathers」(邦題:「父親たちの星条旗」)を手に取ってみていると、売り子が「いいぞ!」と勧めているが、そのアメリカ人は、
  「本国でもDVD化されていないものを、持ち帰れない。税関で引っかかってしまう。」
  と言って、買うのをあきらめていたようである。
  まあ、いずれにしても露店でDVDが売られていたのと、ノート型PCを持って行ったおかげで、宿ではビールを片手に十分に楽しい時間を過ごすことができた。
  ただ、露店で売られているこれらのDVDであるが、品質は一様ではない。私が買った主なDVDを挙げると、
  「BEHIND EVEMY LINES U」「BUTTERFLY EFFECTS U」「PIRATES OF THE CARIBBEAN DEAD MAN'S CHEST」「S.W.A.T」「CLICK」「FLAGS OF OUR FATHERS」「GARDIAN」
  上記のものは全て高画質
  「APOCALYPT」:画質は全く問題ないが、半分あたりから映像と音声が若干ずれる。
  「DEJAVU」:ノート型のPCでは全く見れず。結局、買ったところに持っていって他のものに取り替えてもらった。一部、機能的にノート型のPCでは見れないものもある様子。プーケットでも同じことがあったので、取り替えてもらおうと買ったところに持っていったら、そこに置いてあったDVDプレーヤーではしっかりと再生できた。快く取り替えてもらったが…。
  「MIAMI VICE」:画質自体は悪くなかったが、画面の大きさが、多分正規の大きさの3分の2くらいしかない。
  「NIGHT MUSEUM」:同時にロードショーをしているような新しい映画で、内容的には「博物館の夜間警備員となった主人公が、夜、館内を見回ると、展示してある動物とか人間の像が命を与えられて動き出す」というものであるが、明らかに盗み撮りの画質。また、途中から全く見れなくなったので、他のものに取り替えてもらった。
  このように、品質にはばらつきがある。また、販売の仕方も場所によって違っている。想像するに、取り締まりの関係だと思うが、バンコクでは露店にはDVDのB4の半分くらいの大きさの紙のパンフレットみたいなのが置いてあって、それを見て選ぶわけだが、欲しいものを告げると別の場所からDVDを持ってくる。
  その「別の場所」というのが、4、5m離れたところに置いてあるビニールの袋であったり、別のちょっと離れて場所だったりするわけで、「3分待ってくれ!」などと言われたりすることもある。
  それに対してプーケットでは、直接DVDがビニールの袋に入れられて売られていて、一律80バーツでバンコクよりも20バーツ安い。また、ご親切にも、「これが欲しい。」と告げると、「それは画質が良くないよ。」とアドバイスしてくれたりする。
  また、露店ではないが、バンコクのチャトゥチャックのウイークエンドマーケットでテントの特設会場ができていて、そこで音楽のCDや映画のDVDが売られていたので「THE LORD OF THE RINGS ,THE FELLOWSHIP OF THE RING」と「THE LORD OF THE RINGS ,THE TWO TOWERS」を買い求めた。
  しっかりとしたプラスチックのケースに入っていて、ケースの表には金色のシールなどが張られたりしていし、裏には検印みたいなものも押されているので、私としては正規品のつもりで買ったのだが、金額は各99バーツで露店よりも安いくらい。
  ただ、よくよくプラスチックのケースを見るとタイ語のほうは何を意味しているか分からないが、「399」という数字が目立つように印字してある。もしかしたらこれが正規の値段で、それを特価品として売られているのかもしれないが、詳細は不明である。
  また、DVDに限らず、道端ではローレックスなどの高価な時計の模造品も平気で売られているような状況で、それは私が初めて訪れた18年前と全く変わりがない。しばらくはこういう混沌とした状況が続くであろう。それがタイの魅力なのだ!



 

歩道の露店で購入したDVD。バンコクで100バーツ、プーケットで80バーツ。透明のビニール袋に、写真の上部にある表紙とDVDが入っているものを渡される。



DVDと一緒に入っていた「APOCALYPT」の表紙。このコピーは著作権法違反か?



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