サプリメント
特に運動などに興味がなくても「サプリメント」という言葉を聞いたことがない人はいないことでしょう。それくらい昨今の健康ブームも手伝って、テレビや雑誌、そして折り込みチラシなどで目に留まる言葉になっています。
いわゆる健康補助食品になるわけですが、その種類もすごく豊富で、毎年のように新しいものが出てきているような気がします。
私自身、それほど詳しい知識を持っているわけではないのですが、プロテインに代表されるエクササイズ系、カルニシンのようなダイエット系、青汁やビタミンの錠剤などが代表するような健康維持系、そしてブルーベリーなどが代表するような特定の機能回復系といくつかに分類できるのではないでしょうか?
アンケート調査をしたわけではありませんが、全くサプリメントを摂取していない人よりも摂取している人の用が多いのではと思うほど、私の周りの人たちもいろいろなものを試しているようです。
私の父は今年86歳になりますが、その父でさえもいろいろと飲んでいます。というか、「ちょっといろいろなものを飲み過ぎでは?」と思っているくらいです。アミノ酸、ヤツメウナギ、各種ビタミンなど…。
ある日、「そんなに飲む必要もないんじゃないの?!」と言ったのですが、本人曰く「何か体調がいいような気がする」ということなので、無理には留めませんでした。「まあ、もう平均年齢以上は生きているからいいか?」と思った次第です。(冗談ですが…)
そういう私も、ここ数年はBCAAをここ数年は運動時に飲んでいます。青汁やアセロラなどもやってはみたのですが、なかなか経済的に続けることはできませんでした。
ただ、昨今、「飲むだけで痩せる」の宣伝文句や、飲めばすり減った軟骨が元に戻るようなイメージを与えるようなテレビコマーシャルも数多く、使う方もしっかりと知識をつけて選別をしていかないと、単に企業側から与えられる情報だけが先行してしまい、結局は期待していた効果は得られず「企業側を儲けさせていただけ!」ということにもなりかねません。
そこで私も、少し調べてみることにしました。ただ、全てのサプリメントを取り上げる時間もないので、ここでは、特に運動時に用いるものを中心にご紹介していきます。なるべく、正確な情報を与えていくように心掛けていきますが、もし、誤った内容のものがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。
運動系のサプリメントで最も代表的なものです。いわゆる三大栄養素の一つのタンパク質になります。近頃ではサプリメントも我々の生活の中でかなり普及していますで、誤解も少なくなってきているとは思いますが、一時は「プロテイン=筋肉増強剤」のように思われた時期もありました。
プロテイン(=タンパク質)は、私たちが普段から、肉や牛乳、または大豆など食品から摂取している重要な栄養素です。人間の成長には不可欠で、私たちのカラダを構成している筋肉、骨格、髪の毛などの元となっています。
それを、牛乳や大豆などのから主にタンパク質をメインに抽出してサプリメントとしたものです。
そして、運動を行う上で筋肉の増量や体力の向上を狙うのであれば積極的に摂取していきたいサプリメントとなります。
その原料の違いによりいくつか種類があり、それぞれに特長が異なります。しっかり特長を理解して摂取していかないと目的通りにその効果を発揮できませんし、場合によっては、体脂肪を増やしてしまう可能性もあります。それぞれの特長をしっかりと理解して摂取していきたいものです。
なお、単に飲んでいれば筋肉が増えるわけではありません。「運動+栄養補給」で、初めてその効果が発揮できます。これはどのような運動系のサプリメントに関しても言えることです。
種 類 |
原料 |
特 長 |
|
1 |
ホエイプロテイン |
牛乳 |
・牛乳に含まれるホエイ蛋白(牛乳の中のタンパク質の約20%)を使用 【長所】 ・水に溶けやすく飲みやすい。 ・摂取後の消化が速く、1〜2時間ほどで血液中にアミノ酸として取り込まれ、体内においてタンパク質の合成を促進する。 ⇒トレーニング直前、直後の補給に向いている。 ・比較的安価 【短所】 ・消化が速い分、一度にたくさん摂取すると、余分なエネルギーとなり体脂肪となって蓄積しやすい。吸収の遅いプロテインと比較すると、効果時間が短いということが言える。 ・中にはラクトース(乳糖)を含むものもあるので、乳糖不耐症の人が大量に摂取すると、下痢を起こす可能性がある。 ※WPI製法のホエイプロテインはラクトース(乳糖)はほとんど含まず。 |
2 |
ガゼインプロテイン |
牛乳 |
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3 |
ソイプロテイン |
大豆 |
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4 |
エッグプロテイン |
卵白 |
ホエイプロテイン
ガゼインプロテイン
普段の生活でもときおり耳にする言葉だと思いますが、アミノ酸はタンパク質を構成する要素です。つまり、タンパク質は多くのアミノ酸が集まってできています。そして、口から摂取したタンパク質(お肉、牛乳、またはサプリメントなど)は必ずアミノ酸まで分解されて体の中に吸収されます。
つまり、サプリメントとしてアミノ酸を摂取する場合は、身体に吸収されるために分解される必要がないので非常に吸収が速いということと、それぞれのアミノ酸の特長を考慮してピンポイントで目的別に摂取できるということが言えます。
【サプリメントとしてのプロテインとアミノ酸の比較】
1 |
プロテイン |
|
2 |
・吸収が速い ・目的に応じて摂取することが可能 ・プロテインより高価 |
次に身体を動かす上でよく摂取されるサプリメントとしての アミノ酸をいくつかご紹介します。
そのままアルファベット読みで「ビーシーエイエイ」と読み、「 Branched-Chain Amino Acids」の4つの単語のそれぞれの頭文字を取ったものです。必須アミノ酸のロイシン、イソロイシン、そしてバリンの総称になります。
私たちの筋肉中に一番多く含まれる必須アミノ酸で、その量は30〜40%になります。
普段の食事からももちろん摂取していて肉や魚などの動物性タンパク質や大豆などの植物性タンパク質に多く含まれていますが、スポーツのパフォーマンスを向上させるにはある程度の摂取が必要で、それを食事からだけで補うのはかなりの量を食べていかなければなりません。
タンパク質の摂取は身体の中に吸収させるには、アミノ酸まで分解していかなければなりませんので、少なからず身体にも負担がかかりますので、サプリメントとして単体での摂取が必要になってきます。
以下のような特長があります。
@ 筋肉増量 A 筋損傷の軽減 B 筋肉の分解を抑制 C 運動持久力の向上 D 疲労感の軽減
⇒ 詳細ページへ
・摂取するタイミングは?
目的によって異なります。 まず、覚えていただきたいのは次のことです。
摂取後30分でBCAAの血中濃度がピークを迎える |
そして、以下が大まかな摂取タイミングの目安になります。
1 |
運動直前 |
・運動による筋損傷を防ぐ。 (筋肉痛の軽減) ・持久力、パフォーマンスのアップ ・筋破壊の予防 ・疲労の防止 |
2 |
運動中 |
基本的には「運動直前」に準じるが、とくにマラソンなどのように長時間におけるスポーツでの持久力、パフォーマンスのアップ |
3 |
運動直後 |
・筋肥大を目的 |
・どのくらい摂取すればよいのか?
これは、その人の体格や運動強度にもよるので一概には言えないと思いますが、大塚製薬のBCAAのサイト
に多少考になるような解説があるので読んでみてください。 ⇒ 参考サイト
・その他
@ 特に「筋肥大」を目的とする場合は炭水化物と一緒に摂取すると効率的 |
炭水化物(=糖質)を摂取すると膵臓からインシュリンが分泌されるが、このインシュリンがタンパク質合成作
用を促進する。
A アルギニンとの併用で相乗効果を生む |
テレビ番組の「あるある大事典」でも紹介されたようですが、「BCAA+アルギニン」を一緒に摂取することに
よって、脳疲労や筋肉疲労の原因となる乳酸やアンモニアの発生を抑制することができます。
B サプリメントはバリン:ロイシン:イソロイシンの比率が「1:2:1」のものを選ぶ |
食品である大豆や乳製品、肉類、魚類に含まれる比率がおよそ「1:2:1」であるため?
・参考となるサイト
・サプリメント
正直に言いますと、BCAA自体は苦味があり決して飲みやすいものではありません。サプリメントとしては、粉末、顆粒、タブレット、そして最初から水に溶かしてある清涼飲料水タイプの3つに大きく分けることができると思います。
まったく他のものを混ぜていない無添加のものや、飲みやすいようにフレーバーを付けたものなどがあります。また、他のアミノ酸を混ぜたサプリメントも販売されています。
・粉末タイプ
・タブレットタイプ
・顆粒 タイプ
非必須アミノ酸の一種ですが、 成長の早い乳幼児期では体内での合成量が十分でなく不足しやすいため、準必須アミノ酸と呼ばれることがあります。
主な働きをいくつか挙げてみます。
@ 成長ホルモン分泌促進作用 A 血行促進作用 B 免疫の活性化 C 細胞増殖作用
上記の中で、運動時のサプリメントの効用として大切なのが@の成長ホルモン分泌促進作用です。成長ホルモンの詳細は語句解説のページを見ていただきたいのですが、スポーツを行う上では以下の2点に注目したいところです。
1 |
筋量の増加 |
|
2 |
体脂肪の減少 |
脂肪組織に働き遊離脂肪酸の形にして血液中に放出し、エネルギーとして利用する。 |
BCAAとの併用で相乗効果を生む |
テレビ番組の「あるある大事典」でも紹介されたようですが、「BCAA+アルギニン」を一緒に摂取することに
よって、脳疲労や筋肉疲労の原因となる乳酸やアンモニアの発生を抑制することができます。
グルタミンは非必須アミノ酸の一種です。体内に最も多く含まれているアミノ酸で、骨格筋の中に存在するアミノ酸の約60%がグルタミンです。なお、グルタミン酸とは働きが全く異なりますので注意してください。
主な働きをいくつか挙げてみます。 ⇒ 詳細は語句解説の「グルタミン」のページを参照のこと
@ 体タンパク質の合成促進 A 免疫の活性化 B 小腸機能の活性化 C 細胞合成の促進
以上の働きの中で、運動時のサプリメントとして注目したいのが@の「体タンパク質の合成促進」です。つまり、激しい運動をした後の筋肉の損傷を修復する働きがあり、筋肉痛や筋疲労の軽減の効果が期待できます。
ただし、サプリメントとして摂取する場合に注意しておかなければならないことが以下になります。
必ず「グルタミンペプチド」の表示のあるものを購入する |
食品から摂取するグルタミンはそのほとんどが小腸でのエネルギー源として使われてしまい、血液の流れによって全身には行きわたりません。その問題がペプチドの形になっていれば解決できます。
そして、損傷した筋肉の修復を目的とするのであれば飲むタイミングは以下になります。
筋肉修復のゴールデンタイミングである運動直後の30分以内 |
注意)以下の商品が「グルタミンペプチド」であるかどうかは各自で確認してください。
アミノ酸の中まで、食事から摂取する以外に、アルギニン、グリシン、メチオニンの3種類のアミノ酸から肝臓などで合成されています。
クレアチンがスポーツ時のサプリメントとして注目されたのは、1993年、バルセロナオリンピックにおいて、100mの陸上競技の金メダリストのリンフォード・クリスティ(英)が「クレアチンを摂取しながらトレーニングしたお陰」とコメントしたことがきっかけとなりました。現在では多くのアスリートが利用しているサプリメントになっています。
⇒より詳しい解説は「語句解説」の「クレアチン」のページを参照してみてください。
サプリメントとして摂取するときのクレアチンの注目すべき点は以下になります。
1 |
筋量の増加の促進 |
直接的に筋肉を構成するアミノ酸ではないが、細胞中にクレアチンが豊富に存在していれば、それだけ多くのエネルギーを生みだし、特に瞬発的な力を発揮するときに有効で、その結果として筋量が増加する。 |
2 |
筋持久力の増加 |
エネルギーを生み出すクレアチンの量が細胞中に豊富だと、それだけ筋肉を動かす時間が持続する。つまり筋持久力が向上する。 |
・どのくらい摂取すればよいのか?
これも体格やその人が行う競技、またはその強度にもより、一概には言えないと思いますが、参考になりそうなサイトを探してみましたのでご興味のある方は参照してみてください。
A 参考サイトU(個人のサイトで、副作用に関しても記載あり)
また、摂取の方法も、同じ量を毎日摂取する方法(メンテナンス期)と、競技の大会などの前に1週間位(目安)にわたって毎日多めに摂取して身体の中のクレアチン量を飽和状態にするローディング期を設ける方法などが考えられる。
過剰摂取は、代謝産物であるクレアチニンの血中濃度が増し、その結果として尿量を増加させますので、少なからず腎臓や心臓に負担がかかる可能性があります。十分な水分の補給が必要となってきます。その他、食欲増進や発汗なども報告されています。
また、長期間の服用が身体にどのような影響を与えるのかはまだまだ研究段階なので、その点も考慮して摂取していく必要があります。
・いつ摂取したら良いのか?
毎日、同じ量を長い期間摂取(メンテナンス期)する場合には、運動時にはしっかりと身体の中のクレアチンの量を確保しておきたいので、運動の直前に、そしてローディング期であれば食後が身体への吸収が良いようです。
・その他
体内で脂肪をエネルギーとして利用するときに働く物質(アミノ酸の仲間)で、肉などの食品から摂取するほか、体内でも必須アミノ酸であるリジン、メチオニンから肝臓、腎臓で合成されています。
⇒ より詳しい解説は「語句解説」の「カルニチン」のページを参照してみてください。
肥満が問題になっている米国では、以前からその対策にサプリメントとしてカルニチンを摂取している人が多いようです。
・働き
ずばりサプリメントして摂取する場合の注目すべき働きは以下になります。
1 |
体脂肪の燃焼促進 |
筋肉の細胞内において、エネルギー源となる脂肪(遊離脂肪酸)をエネルギーを産生するミトコンドリアまで運搬している。 ⇒ 脂肪燃焼の仕組み |
・どのくらい摂取すればよいか?
他のアミノ酸同様、これもその人の体格や目的(健康維持、ダイエットなど)によって異なってきます。
サイトsupplement-naviに以下のような文章が掲載されていました。
厚生労働省の通知では「本成分の使用に当たっては、米国では許容一日摂取量(ADI)が20mg/ 体重kg/日と評価されていることや、スイスでは1,000mg/日を摂取の条件としていることなどから、過剰摂取しないように配慮するととも に、消費者への情報提供を適切に行うこと。」
米国を例に取ると、体重が70キロであれば1日の摂取量は1,400rということになります。もちろん米国人と日本人ではかなり体形には差が生じます。
同じサイトの「摂取目安量」という項目を見ると、次のような数値になっていますので参考にしてみてください。
健康維持:100r スポーツ・ダイエット:500〜1,000r |
・いつ飲めば良いのか?
カルニチンはタンパク質やペプチドと違い構造が簡単な低分子なので、その吸収に消化酵素の助けを借りずに吸収されます。つまり、吸収時間が速く、即効性があるということになります。ダイエット目的に運動と一緒に摂取するのであれば、運動前にしっかりと体内でのその量を豊富にしておきたいところです。
運動を伴なわないものであれば食後でも良いと思われますが、一つ注意しておきたいのは、タンパク質と一緒に摂取してしまうと、タンパク質分解酵素の作用をうけてリジン、メチオニンの2つのアミノ酸に分解されてしまう可能性があります。